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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「火中の栗」三菱自工をあえて拾った日産の野望

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第30回】 2016年5月20日
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三菱自工に続きあのスズキまで!?
燃費不正問題に揺れる自動車業界

燃費不正問題で揺れる「火中の栗」三菱自工を、日産はなぜ拾ったのか? Photo:REUTERS/AFLO

 燃費改ざん不正が発覚した三菱自動車工業(以下、三菱自工)の騒動は、相川哲郎社長の引責辞任にまで至った。また、5月18日に自動車各社の燃費計測データが国交省に報告される中で、スズキが国の定める計測方法と異なる計測データを用いていたとして、スズキのトップが謝罪会見を行う事態にまで波及することとなった。

 燃費データ改ざんによる不正が明るみに出た三菱自工と国の規定と異なる燃費測定をしていたスズキのケースは異なるものだが、燃費に対する消費者の信頼が揺らいでいることは確かだ。これを機に、燃費や排ガスのレギュレーション(規則・規制)を自動車業界と国土交通省が共に明確なものに改めていく必要があろう。

 一方、軽自動車燃費改ざん不正で揺れる三菱自工は、18日に軽自動車以外の扱い車種ほぼ全て(タイ生産のミラージュ以外)において燃費不正があったことも表明した。その三菱自工と34%出資の資本提携を締結し、幅広い戦略的アライアンスを目指すことになったのが、日産自動車(以下、日産)である。三菱自工は、日産の支援によって生き残る道を選んだ。これにより、ルノー日産連合に三菱自工が組み入れられ、トヨタ、VW、GMに匹敵する自動車企業連合が誕生することになった。

 三菱自工が軽自動車の燃費不正を認めて発表したのが、4月20日のこと。それからGW明け後の5月12日に日産のカルロス・ゴーン社長と三菱自工の益子修会長が両社の資本提携を発表するという、実に電光石火のような展開だった。

 日産が2370億円で三菱自工株34%を取得することで、三菱自は事実上、日産の傘下に入ることになったわけだが、ゴーン日産は覇権主義をとらず、三菱自動車の自主性と三菱ブランドを守るなかで、両社の相乗効果を狙うという。

 リコール隠しに留まらず、またもや燃費不正という不祥事を繰り返した三菱自工は、「会社の存亡に関わる重大な案件」(相川哲郎社長)と事の深刻さを認め、「ユーザーや関係各方面への補償問題も含めてこれを収束させること」を大前提としていたはずだ。しかし、軽自動車の燃費不正への対応よりも早く、その開発合弁先である日産との資本提携へと同社が一気に突き進んだ理由は何だったのか。

 その背景には、三菱自工の生き残り策に対する三菱グループの目論見、日産と仏ルノー連合を17年も率いるカルロス・ゴーン社長の世界覇権への野望など、両社の思惑が絡み合っていることが見て取れる。今回の資本提携劇に至る三菱自工、日産のそれぞれの事情と背景を捉えてみた。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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