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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

日産とルノーの不平等提携是正は
「ポスト・ゴーン」への起爆剤か?

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第20回】 2015年12月18日
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経営の自主性は守られたか?
日産ルノー不平等提携是正の意義

ルノーの不平等提携が是正され、日産は日本車メーカーとして存在感を強められるか Photo:REUTERS/AFLO

 日本時間の12月12日未明(フランス・パリ時間の12月11日)、日産自動車の西川(さいかわ)廣人副会長兼チーフ・コンペティブ・オフィサー(CCO)がパリからテレビ記者会見し、「日産、ルノー、フランス政府が日産の経営の自主性を担保し、アライアンスの将来を守ることで合意した」ことを発表した。

 今回の三者による合意は、下記条件により将来にわたるアライアンス(提携)の成功を担保するものとしている。

・ルノーにおけるフランス政府の2倍の議決権は、2016年4月1日付けで維持される。また、フランス政府とルノーとの間で締結される契約によりルノーはフランス政府の議決権を17.9%に制限するが、株主総会において通常より高い定数となった場合には最大で20%まで拡大される。

・日産はルノーの議決権を有しない。

・日産は、同社の経営判断に対してルノーによる不当な干渉を受けた場合、ルノーへの出資を引き上げる権利を有する。

 西川日産CCOは、これを受けて「ルノーと日産の信頼関係は、ゴーンCEOの力強いリーダーシップにより築き上げられたことは言うまでもありませんが、さらに将来に向けて一歩前進したとも言えるでしょう。今回の合意は、当社の利益にとって最善の内容であると固く信じております」との声明を発表した。さらにこの合意の意義について、「ゴーンCEOが退任しても十分仕事ができる関係を築いた」とも述べた。

 ルノー日産連合は、1990年代末から2000年代初頭に起きた世界の自働車メーカー間の合従連衡において、アライアンスの成果を上げたモデルケースと言われてきた。確かに、瀕死の状態にあった日産がルノーの援助(カネ、ヒト)によって再生し、一方で再生後の日産はルノーの持ち分適用会社としてルノーに持ち分利益を上納することで、ルノーの業績を支えているという関係にある。

 ルノー日産連合は、2000年代初頭の世界自動車大再編劇が、ダイムラークライスラーの離婚に代表されるように、国際資本提携が必ずしも思惑通りにいかなかったケースが続出したなかで、唯一とも言える成功例であろう。つまり、日産はルノーのお蔭で立ち直り、ルノーは日産の業績回復のお蔭で連結決算における日産の寄与が大きくなっているというわけだ。

 ただ、1999年にルノーが日産に出資して以来、現在ルノーと日産は株式を持ち合う関係にあるものの、ルノーの日産への出資比率が43.4%なのに対し、日産のルノーへの出資比率は15%で、かつ日産の持つルノー株には議決権がない。日産はルノーの了解なしにルノー株の売買ができないなど、資本面では不平等な提携関係にあった。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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