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データサイエンティストの冒険

日本企業は、なぜデータ活用に躊躇するのか

――失敗を恐れず、粘り強く挑戦を続けよう

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第17回】 2016年9月16日
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「取り返しのきかない失敗」と
「取り返しのきく失敗」

 前回は、右肩上がりで成長を続ける訪日客へのインバウンド施策に、データを積極的に活用すべきという趣旨で、迎える側の日本人が、すべての訪日客に画一的なサービスや商品を押しつけるのではなく、彼ら一人ひとりの属性や行動から、必要な情報を探り出して提供すれば、自ずと日本のインバウンド市場は伸びるだろうと書きました。

 訪日客に知られざる日本を体感してもらうためには、思いつきや、ありきたりな先入観に頼るのではなく、データや事実に基づいたトライ・アンド・エラーが必要なのですが、どうやら日本企業の多くは失敗を恐れるあまり、臆病になっているように思えるのです。

 こんな時こそ、失敗には「取り返しのつかない失敗」と「取り返しのきく失敗」があることを思い出すべきでしょう。

 前者は、社会や顧客との信頼に大きなダメージを与える失敗であり、絶対に避けなければなりません。しかし、次の挑戦に結びつく失敗はむしろ推奨されてしかるべきでしょう。データ分析につきものの試行錯誤は、まさに後者にあたる代表例です。

 データの扱いに慎重であることは結構なことですが、躊躇するとなると話は別です。きちんと対処すれば回避しうるレベルの失敗を恐れるあまり、データ活用そのものを諦めるのは本末転倒といわざるを得ません。

 当然のことながら、個人情報に紐づくデータは、それを生み出したユーザー自身のものです。しかし、この事実を軽く見ている人が多いのもまた事実です。

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工藤卓哉[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence 北米地域統括 兼
アクセンチュア アナリティクス日本統括 マネジング・ディレクター
慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年4月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


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近年、テクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスが、ビジネスを大きく変えようとしている。データの高度な活用から次の打ち手を見出す力、アナリティクスの決定的な優位性を最前線から解説する。

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