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社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

捜査への協力者が一転、マスコミの集中砲火!
取引先に反社会的勢力の疑いが生じたとき、
企業はどうやって身を守ればいいか?

小川真人 [ACEコンサルティング株式会社 代表],白井邦芳 [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]
【第14回】 2010年11月24日
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捜査等当局からの協力要請

 A興業は、事業用賃貸不動産の開発、販売を主たる業務とする、中堅の上場不動産業者であった。

 不動産物件の仕入れに際しては、既存テナントの「立ち退き」が必要となるケースもある。その際にトラブルが生じそうになると、上場企業としてのクリーンなイメージを維持するために、交渉の矢面に立つことを回避しながら、一方で迅速な「立ち退き」を実現するために、外部の専門会社を利用して立ち退き交渉を進めることも少なくなかった。

 その日、A興業の総務担当取締役Xは、捜査当局からの呼び出しを受け、丁重ではあったが、威圧的な雰囲気の要請を受けていた。A興業がテナントの立ち退きに関して業務委託しているH社が、暴力団組織と密接な関係を有する、いわゆる反社会的勢力の可能性が高いとして、当局がマークしているというのだ。

 「ついては、今後の調査に協力してほしい」というのが、要請の趣旨であった。取締役Xは、捜査当局の呼び出しから戻ると、すぐに社長を訪ね、捜査当局からの要請を報告するとともに、今後の対応の指示を仰いだ。

 「確かに、H社に関しては、テナントから対応が乱暴だのクレームを受けたことが何度かあったな。しかし、うちが直接手を下しているわけでもないし、H社の側でうまく対処するということで、任せてきた。うちには特に問題はないはずだ。H社との関係は、開発担当のY取締役に任せているから、Y取締役と相談しながら、捜査当局には積極的に協力するように」との指示があったが、特にそれ以上の言及はなかった。

 これを受けて取締役Xも、当局からマークされているのは、あくまでH社なので、当局の要請に粛々と対応すれば十分であると考え、それ以上の対策をとることもなく、時間が経過するのに任せていた。

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小川真人(おがわまひと) [ACEコンサルティング株式会社 代表]

公認会計士、公認不正検査士、日本法科学技術学会正会員。慶応義塾大学商学部卒業後、1986年、ピートマーウィックミッチェル会計士事務所(現在のKPMGあずさ監査法人)に入所し、会計監査・リスクマネージメント業務に幅広く従事。2003年より2008年まで、(株)KPMG FASにて日本における不正調査サービスの責任者(パートナー)として、不正会計調査、経営者不正調査、従業員不正調査、個人情報流出事件調査など、多様な不正調査やリスクマネージメント業務を提供。2008年4月より、ACEコンサルティングを設立して独立。

白井邦芳(しらい くによし) [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]

AIU保険会社及びAIGグループ在籍時に数度の米国研修・滞在を経て、企業の危機・不祥事・再生に関するコンサルティングに多数関わる。2350事例にのぼる着手案件数は業界屈指。2009年から現職。リスクマネジメント協会評議員、日本法科学技術学会正会員、経営戦略研究所外部専門委員、著書に「ケーススタディ 企業の危機管理コンサルティング」(中央経済社)等がある。


社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

海外で発生するテロや暴動そして天災、果ては脅迫から社内の権力闘争の暴露まで。現代の企業はまさにリスク取り囲まれて活動している。ことは生命にかかわることが多いにもかかわらず、依然として、日本企業はこの種のリスクには鈍感。イザというときに、じたばたしないためには、準備こそがすべて。具体的な事例を基に危機管理の鉄則を公開する。

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