ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦

19歳娘が妊娠!二股彼氏一家と父親が戦い抜いた理由(下)

露木幸彦 [露木行政書士事務所代表]
【第38回】 2016年9月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

>>(上)より続く

 信吾さんは彼の下宿先に足を運び、「娘は君のせいで地獄に落とされたにもかかわらず、早々と別の彼女を付き合い始めたそうじゃないか!君にはもはや最低限の常識、当たり前の倫理観すら欠落しているんじゃないか?」と激しく叱責した上で、まず彼の父親の連絡先を聞き出すことができたそうです。

 そして後日、父親の携帯に電話をかけると、父親は「うちの息子が迷惑をおかけして……」と低姿勢で詫び、最初は「全額払う」と言っていたのに、今度は「半分しか払わない」、さらに「払うつもりはない」という感じで、二転三転を繰り返すばかり。信吾さんは苛立ちのせいで携帯を握る手が小刻みに震えるのを抑えるのに必死だったそうです。

 「もしかすると責任を感じていないのでは?費用を払うつもりはないのでは?そもそも本当は悪いと思っていないのではないか!」

 このまま電話で話し続けても埒が明かないので、「直接、話をさせていただけませんか?」と投げかけたそうです。そして父親の都合を聞き出し、予定を調整し、相手の実家に乗り込みました。

 「19歳の彼はもう子ども扱いする歳ではないでしょう。避妊しなければ、娘を妊娠させる可能性があることくらい自覚していたはず。そして二股状態でうちの娘に手を出したのだから、『どうせ堕ろせばいい』と軽く考えていたんでしょう。つまり、妊娠、中絶のことを承知の上で避妊しようとしなかったという意味で、息子さんは故意犯なのではないんですか?」

 信吾さんはそうやって怒りを込めて、父親に対してまくし立てたのですが、いかんせん、直談判の会場は相手の実家で、信吾さん1人に対して、相手は父親、母親、そして祖母の3人。多勢に無勢の状態です。

「子の父ではない」と責任転嫁する彼一家
動かぬ証拠で反撃

 相手の父親はまるで自分の息子(彼)は何も悪くない、悪いのはそちら(娘さん)の方だと言わんばかりに「うちのせがれは『自分の子じゃない』と言ってるんですよ!失礼ですが、お父さん。娘さんは他の男にも平気で股を開くような子だったんじゃないですか?」と責任転嫁してきました。

 あまりにも酷い暴言に信吾さんも怒り心頭でしたが、相手方が息子大事さに、姑息な手段を講じてでも息子を守ろうとするのは想定の範囲内でした。「彼女を中絶させた過去」という人生の汚点を消したいのでしょうが、このような反論は詭弁に過ぎません。

 なぜなら、娘さんと彼が話し合い、「堕ろす」という結論に至ったとき、彼本人が「人工妊娠中絶に対する同意書」に署名していたからです。胎児は娘さんの子ですが、同時に彼の子でもあるのですから、堕胎するには双方の同意が必要です(母体保護法第14条1項1号)。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

露木幸彦[露木行政書士事務所代表]

つゆき・ゆきひこ/行政書士、フィナンシャルプランナー。1980年生まれ。国学院大学卒。男性の離婚相談に特化した行政書士事務所を開業し、開業から6年間で有料相談件数7000件、法律文書作成900件を達成。公式サイトは1日訪問者3300人、会員数は1万3000人と、業界では最大規模にまで成長させる。2008年よりドコモ、au、ソフトバンクの公式サイトで法律監修を担当。四半期に一度、大相談会を開催している。主な著書に『結婚貧乏~結婚してはいけない人を避ける方法』(中央公論新社)、『離婚のことばハンドブック~今すぐ解決したい人のキーワード152』(小学館)、『男のための最強離婚術』『男の離婚 賢く有利に別れるための6つの成功法則』(共にメタモル出版)などがある


実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦

昨今の離婚事情は複雑化している。夫が借金、浮気、暴力を繰り返して妻に愛想を尽かされるという「昭和型離婚」ばかりでなく、足もとでは「草食系離婚」も急増している。妻が多重債務、不倫、ヒステリーなどを繰り返し、真面目で優しい夫がそれに絶えられなくなって離婚を決意するというパターンだ。そうしたなか、離婚トラブルで悩み悶える男性が増えている。一度離婚トラブルに発展すると、男性は多くの精神的・物理的な負担を強いられる。到底納得できない理不尽な離婚トラブルに意図せず巻き込まれた場合に備えて、普段から対処法を考えておくことは必要だ。「男性の離婚相談」に特化し、数多くの相談実績を誇る行政書士の露木幸彦氏が、毎回実例を挙げながら、男性が陥り易い離婚トラブルへの対処法を指南する。読まずに泣くか、読んで笑うか――。現在離婚トラブルで悩んでいる人もそうでない人も、「他人事ではない男の離婚」について考えるための参考にしてほしい。

「実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦」

⇒バックナンバー一覧