東京一極集中の是正を狙った「地方創生」の一環である中央省庁の地方移転計画。今年3月、文化庁の京都移転が正式に決定した。

京都への文化庁移転、高まる反対と受け入れ態勢の難文化庁の京都移転が正式に決まり喜ぶ関係者。京都商工会議所のみならず、関西広域連合など、関西の経済界からの期待も大きい Photo:朝日新聞社

 京都にとって文化庁誘致は、「30年来の悲願」(京都市京都創生担当)。これまで、元京都大学名誉教授の河合隼雄氏が文化庁長官を務めていた2002年、分室を京都市に開設するなど、長年の熱心な誘致活動が実を結んだ形だ。

 7月には移転実証実験が行われ、9月1日の「まち・ひと・しごと創生本部」による決定では、来年度から「地域文化創生本部(仮称)」を設置し、文化庁の一部を先行移転させることも明記され、数年以内には全面移転の見通しだ。

 しかし、今月に入り、反対の声が各所から上がり始めた。文化芸術組織で構成される「文化芸術推進フォーラム」や、日本音楽著作権協会(JASRAC)などが、京都移転への反対声明を正式に発表。もともと他の自治体からは「メリットがあるのは京都のみ」という不満が漏れていただけに、反対の輪が広がりを見せた格好だ。

 京都側の関係者は「いちいち相手にしていられない」と息巻くが、来年度からの先行移転には「国民の理解を得る」という目的もあるため、内心穏やかではあるまい。