──それを示すような何か特徴的なシーンはありますか。

 三葉がお米をかんで自身の唾液とまぜて、升に入れて自然発酵させる「口噛み酒」はその一つです。他にも、例えば、瀧が年上の女性である奥寺先輩と一緒に三葉を探しに行くところですね。これらは、単に私の好みなわけですよ(笑)。

 ただ、無造作にやると不快なものになりかねない。瀧は、三葉という別の女の子のことを見ているのに、なぜか奥寺先輩という他の女性が付いてくる。下手をすると無神経な展開になりかねませんので、そう思わせないための「回路」をきちんと作る。その点、脚本会議で「これは無神経ですよ」とか「気持ち悪いです」とかダイレクトに伝えてもらったことで、だいぶ助かりましたね。

──作家は、自分の作品にどこか自分を映した人を登場させるとも伺います。今回、奥寺先輩の登場シーンをざっと計測するとおよそ17分、全体の15%程度でしたが、その割に存在感が強い印象です。高校生の恋愛を大人が冷めずに見られたのも、奥寺先輩の存在があるかもしれません。新海監督がやはり入っているのでしょうか。

 入っているのでしょうね(笑)。最初から最後まで少年少女の物語にしなければ、とずっと制作してきましたが、どうしても作り手は、何か自分を重ねられる人物を入れたくなってしまいますよね。宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』だと、宮崎監督が「ユパ様」なのでしょうが、奥寺先輩にもそういうところがあるのかもしれません。

──ツイッター分析では、声をあてた「長澤まさみ」さんよりも「奥寺先輩」の方が頻出します。

 そうなのですか(笑)。それは嬉しいですね。

──お忙しい中、ありがとうございました。

 こちらこそ、ありがとうございました。