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創業150年で赤字は一度だけ、欧州最大企業「ネスレ」の凄さ

週刊ダイヤモンド編集部
【16/10/01号】 2016年9月26日
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『週刊ダイヤモンド』10月1日号の第1特集は「凄いネスレ 世界を牛耳る食の帝国」。なぜネスレは凄いのか。食の王者が持つ強さの秘密を徹底解明しました。

ピーター・ブラベック
ネスレ会長。1944年オーストリア生まれ。68年ネスレ入社。エクアドル、ベネズエラのCEOを経て、97年よりグループCEO。2008年より会長。17年4月に退任予定。 Photo:Nestle

 世界中の視線がリオデジャネイロオリンピックに注がれていた8月上旬。オーストリアのザルツブルクでは世界有数の音楽祭が幕を開け、ネスレ主催の晩餐会が催されていた。同社は音楽祭の有力なサポーターであり、現地には大勢のネスレ関係者や招待客の姿があった。

 前国際連合事務総長のコフィ・アナン、元メキシコ大統領のエルネスト・セディージョ……。政財界の著名人らは音楽鑑賞に興じるとともに、国際問題について真剣なまなざしで語り合う。その中心にある一人の男がいた。

 ピーター・ブラベック。1997年からCEO(最高経営責任者)、2008年からは会長を務めるネスレの“皇帝”である。

 世界経済フォーラム(ダボス会議)でも中心的役割を担い、ドイツのアンゲラ・メルケル首相や中国の温家宝元首相とも議論を交わす。世界で最も影響力のある経営者の一人であるブラベックは、晩餐会の冒頭、ザルツブルクの歴史などをジョークを織り交ぜながら紹介した。

 俳優顔負けの整った顔立ちと経済人としての風格が備わる彼の話に、世界の大御所たちが皆一様に引き込まれていった。

 かつてブラベックは母国オーストリアで「成功」をテーマにした講演を行い、こう語っている。

 「辞書を引くと、『成功』には二つの意味が書かれています。一つは権力、名声、富を得ること。もう一つは成果。私は後者の意味が近いと感じます。もし、私が目指すものが富であれば、私はネスレに商品を納める個人事業主になっていた。ネスレは原材料費をけちったりしないので。名声が欲しかったら、俳優か音楽家になっていただろうし、権力が欲しかったら、政治の道に進むべきでした」

 彼にとって成功とは、努力の結果生まれる「成果」だ。事実、彼は成果のために名声を犠牲にした。水資源問題の解決のため、水不足に陥る危険性を叫び、批判の矢面に立っている。

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