部下からの質問に躊躇せず答える

「ファーストクエスチョン、ファーストアンサー」が大事なのは、何もお客様やビジネスパートナーとの関係に限ったことではありません。社内での人間関係においても同じです。

 たとえば新しくマネジャーに就任したとします。チームのメンバーはマネジャーがどんな人かわからないので戸惑っています。でもやる気がある人、積極的な人だったら、マネジャーにいろいろと質問を投げかけてくるでしょう。

「マネジャーはこの店をどうしたいのですか?」
「チームの目標は何ですか?」

 こんな質問に対してマネジャーが、

「そうだなぁ……。とりあえずたくさん売る店にしたいよね」

 なんて適当な答えをしていたら、もう印象は最悪です。私が部下だったら、「なんだこのマネジャー。頼りなさそうだな」と思ってしまいます。反対に、

「オレはこのチームを絶対にナンバー1にする。みんなで頑張ってナンバー1を目指そう」

 と力強く断言されれば、頼もしいマネジャーだという印象を受けるでしょう。

人の第一印象は、その後の人間関係にも大きな影響を与えるといいます。これを心理学では「初頭効果」と呼ぶそうです。

ビジネスシーンなら、仕事相手は数秒から数分の間に、「この人は能力が高そうだ」とか「この人はリーダーとして信頼できそうだ」と判断し、その印象がしばらく定着してしまうということです。

 だからこそ、「ファーストクエスチョン、ファーストアンサー」なのです。

返答の正確性はあまり重要ではありません。もっといえば、間違った答えでも構わないとさえ思っています。

 間違っているかもしれないと尻込みして、「それはおそらく……70%、いや75%だったかな?」などとモゴモゴと答えるよりも、「70%です!」と力強く言い切ってしまったほうが、相手に対してよほど信頼感を与えられます。

 日頃からファーストアンサーをズバッと答えられるようにするためには、想定される質問を考えておくことも大事ですが、信念やビジョンを持つことも大事です。仕事に対する信念やビジョンが明確になっていれば、各論的な質問に対しても、ぶれることなく即座に答えを出すことができるからです。