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日本が誇る!食のブランド 池田陽子

1粒100円の梅干しに大行列!「とまと梅」の正体

池田陽子 [食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]
【第13回】 2016年9月2日
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★南高梅
紀州梅を代表する南高梅で作られた梅干し。みなべ町内にある梅専門研究機関「和歌山県うめ研究所」では南高梅とみなべ町原産の「地蔵梅」を掛け合わせてβ-カロテンが、南高梅の6倍も含まれた新品種「橙高」も開発している

 和歌山県は梅生産量日本一。全国の6割を占める6万3800トンを送り出す一大梅王国として52年連続トップを走り続けている。

 紀州梅の代表的な加工品は、なんといっても梅干しだ。紀州梅を代表する品種は「南高梅」。大粒で皮がやわらかく肉厚、ジューシーな南高梅を使った梅干しは最高級品とされ、まさにトップブランドたる地位を確立している梅だ。もっとも生産が盛んなのは、みなべ町、田辺市を中心とする紀中・紀南地方だ。

 南高梅発祥の地であるみなべ町。昨年12月には、伝統的な梅農業の仕組みが「みなべ・田辺の梅システム」として世界農業遺産とに認定された同町の梅生産量は、3万4800トン。全国の3割を占め、町内における農家の99.9%が梅栽培に従事する。

みなべ町・南部梅林。養分に乏しく礫質で崩れやすい斜面を活用して薪炭林を配置し、400年にわたり高品質な梅を持続的に生産してきたという農業的な仕組みが世界的に優れていると評価され「みなべ・田辺の梅システム」として認定された

 江戸時代に栽培がはじまった紀州梅が、全国にその名を広めたのは、昭和50年代のこと。健康食品ブームを背景に梅干しの人気に火が付き、消費が拡大。さらにそのころ、革命的な商品が現れた。「調味梅干し」である。

 「『かつお梅』『はちみつ梅』などの食べやすい調味梅干が大ヒット。消費量が増大し、梅産業の発展に勢いがついたんです」

 こう語るのは日本で唯一、みなべ町役場にしかない「うめ課」の平喜之さん。ふっくらした果肉に旨みと味わいが加わった南高梅の調味梅干しは多くのファンをつかみ新たな消費を開拓。ブランドを確立していった。

10年で3割も消費量が減少!
「おにぎりの具は梅干し」条例制定

和歌山県と県内外の食品関連企業が研究会を立ち上げ、開発した「紀州梅バーガー」が新たな梅グルメとしてブレイク中。「とっとりバーガーフェスタ2015」に出店し、見事2年連続グランプリを獲得。写真は「パン工房カワ」の「まるごと!紀州梅バーガー」。

 しかし、ここ数年、梅干しの消費は減少する一方だ。食生活の多様化を背景に、年間購入額量は平成14年の1053gから25年には759gと3割も激減。梅干し離れが加速していた。

 これはみなべ町にとって大問題である。みなべ町は梅の生産だけではなく、加工、流通、販売の拠点が集積。いわば、「梅で経済が回っている」みなべ町にとってはまさに死活問題である。

 梅干しの存在を忘れられては困る!

 みなべ町は消費拡大のために猛烈なPRを開始。全国規模のイベントなどに積極的に出展、町長自ら出演するラジオCMを全国ネットで流すのみならず、ついに「掟」まで作ってしまった。

 「おにぎりの具はすべて梅干しにするように!」

 「梅干しおにぎり条例」の制定である。

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池田陽子[食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]

宮崎生まれ、大阪育ちのアラフォー。立教大学卒業後、出版社にて女性誌、ムック、機内誌などの編集を手がける。取材を通して、カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは?という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。自身の体調の改善、美容効果などをふまえてふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる薬膳の提案や、漢方の知恵をいかしたアドバイスを、執筆、講習会などを通して行う。また、日本各地の食材を薬膳的観点から紹介する活動も積極的に取り組み、食材の新たな魅力を提案、発信を続け、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。著書に「ゆる薬膳。」(日本文芸社)「缶詰deゆる薬膳。」(宝島社)、「『ゆる薬膳。』はじめたらするっと5kgヤセました!」(青春出版社)などがある。
■HP:www.yuruyakuzen.com
■Facebook:https://www.facebook.com/yoko.ikeda.79

また、鯖をこよなく愛し、日本全国・世界のさば、さば料理、さば缶を楽しみ、さば文化を語り、さばカルチャーを発信し、さばで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動している「全さば連」(全日本さば連合会)にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。
■全さば連HP:http://all38.com
■FACEBOOKページ:http://www.facebook.com/mackerel.cava  

 


日本が誇る!食のブランド 池田陽子

観光立国を目指す日本にとって、日本の食は大きな資産だ。日本各地にさまざまな誇れる食のブランドがあるなかで、多くの日本人・外国人にも知られているモノはいかにしてブランドを築き、なおそれを維持しているのか。その日本の食のブランド戦略を探る。

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