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ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。
【第19回】 2016年10月18日
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原田まりる [作家・コラムニスト・哲学ナビゲーター]

【『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』試読版 第14回】ワーグナーとは仲がよかったのだが、いまはもう……

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17歳の女子高生・児嶋アリサはアルバイトの帰り道、「哲学の道」で哲学者・ニーチェと出会って、哲学のことを考え始めます。
そしてお休みの土曜日、またまたやってきたニーチェは、自分の生い立ちのことを話しはじめたのでした。
ニーチェ、キルケゴール、サルトル、ショーペンハウアー、ハイデガー、ヤスパースなど、哲学の偉人たちがぞくぞくと現代的風貌となって京都に現れ、アリサに、“哲学する“とは何か、を教えていく感動の哲学エンタメ小説『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』。今回は、先読み版の第14回めです。

えーと、ようするに腹黒いってことかな

 「ニーチェってさ、どういう人生を歩んできたの?」

 「私か?まあざっくり言えば牧師の家庭に生まれたのだが、まだ私が子どもの頃に父は亡くなってな。そこからは聖なる女性たちに育てられた」

 「聖なる女性たち?」

 「おばあさんと、母親、伯母とエリザベトという名の可愛い妹だ。私はずっと女性に囲まれて過ごしてきたのだ」

 「なんかそのハーレム感、ライトノベルの主人公みたいだね。タイトルをつけるなら“俺の妹がこんなに可愛いワケなのだが”的な」

 「ライトノベル?まあ女性に囲まれて暮らしてきたのだ。私は幼い頃から勉学に励み、二十四歳にして大学教授となった。
 いわゆる天才街道まっしぐらだな。まあ勉学に励んだといっても、私はガリ勉というわけではなかった。酒も飲むし、服装もわりとお洒落であった」

 「そうなんだ、天才街道ねえ。ニーチェの、その……哲学は自分で思いついたの?」

 「自分で思いついたと聞かれれば、自分で思いついたのだが、ある人の影響を受けたとも言える」

 「そうなんだ、そのある人って誰?」

 「ショーペンハウアーという人物だ」

 「ショーペンハウアー?」

 「そうだ。私は普段は本を衝動買いしないのがモットーだが、ショーペンハウアーの本だけは衝動買いしてしまったのだ。懐かしいなあ」

 「へーそうなんだ、どうして衝動買いしちゃったの?」

 「そのくらい彼の思想に、衝撃を受けたのだ。ショーペンハウアーのことを、夢中で話し合った仲のいい友人もいた」

 「哲学仲間みたいな感じ?」

 「まあそうだな、哲学仲間というより音楽好き仲間という感じだな、ワーグナーという男なんだが」

 「ワーグナー?なんか聞いたことあるような、ないような」

 「ワーグナーは音楽家だ。結婚行進曲という曲を聞いたことがあるのではないだろうか」

 「曲を聞けばわかるかも。その、ワーグナーって人と仲よかったんだね」

 するとニーチェの顔が一瞬曇った。

 あまり触れてほしくないのだろうか、ニーチェは一瞬、軽蔑するような目でこちらを見ると口ごもらせてしまった。

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原田まりる(はらだ・まりる) [作家・コラムニスト・哲学ナビゲーター]

1985年 京都府生まれ。哲学の道の側で育ち高校生時、 哲学書に出会い感銘を受ける。京都女子大学中退。 著書に、「私の体を鞭打つ言葉」(サンマーク出版)がある。


ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。

17歳の女子高生・児嶋アリサはアルバイトの帰り道、「哲学の道」で哲学者・ニーチェと出会います。哲学のことを何も知らないアリサでしたが、その日をさかいに不思議なことが起こり始めます。キルケゴール、サルトル、ショーペンハウアー、ハイデガーなど、哲学の偉人たちが続々と現代的風貌となって京都に現れ、アリサに、“哲学する“とは何か、を教えていきます。本連載では、話題の小説の中身を試読版としてご紹介します。

 

「ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。」

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