経営×統計学

ビジネスの現場で実践 統計学で差をつける!(1)

【JR東日本ウォータービジネス】
自販機データを分析し
売上高1.6倍を実現

 東京ディズニーランドの最寄り駅となるJR舞浜駅は、JR東日本の中でトップ10に入るほど自動販売機の飲料が売れる駅だ。午前9時台と午後2時台の1日2回、補充をしても売り切れてしまっていた。

 ただ、駅構内(エキナカ)の自販機は、乗降客への安全面の配慮や階段を通っての運搬から補充を増やすことが簡単ではない。回数を増やさずに売り切れを防ぐべく、2012年夏の販売データを時間帯別に調べた。すると、午後10時台に需要のピークが訪れ、午前9時前にも売り切れが続出していたことが判明した(図3‐1参照)。

 これは、ディズニーランドの開園前と閉園後の時間帯に重なっていた。来場者だけでなく、近隣店舗が閉まっている時間帯のために、ディズニーランドで働くスタッフの利用が多いことも分かった。

 そこで、補充を朝5時と夕方の2回に切り替えた。すると、13年7月は、売上高がなんと前年同月比で3割もアップしたのである。

 JR東日本のエキナカで、自販機ビジネスを展開するJR東日本ウォータービジネスは、地域が広範囲にわたるため、自販機の補充作業など現場のオペレーションを13社のパートナー会社に委託している。自社では新商品の開発や商品ラインアップの企画、自販機の設置などに専念する一方、現場には商品ラインアップの3割を利用動向に応じて決めてよいなどと裁量を与えている。そうすることで舞浜駅の事例のように、現場の知見を基にデータ分析を生かす体制を整えている。

 もともと、自販機のオペレーションは、週次や月次などの販売データしか収集できず、現場の「勘」と「経験」が頼りだった。

 そこにウォータービジネスは、電子マネー決済端末と連動させたネットワークを開発し、POS(販売時点情報管理)システムを導入した。IDや性別、年代、居住エリアなどの登録会員の情報を組み合わせることで、いつ・どこで・どういった人が・何を買ったのかを浮かび上がらせ、リピーターや併買品までも分かるようになった。

 こうして、データ分析とは縁遠かった自販機ビジネスに新風を起こし、13年度の売上高は約420億円と、06年の設立以来、およそ1.6倍にまで成長した。

 自販機の台数そのものは3%増の約1万台とほとんど増えていないため、1台当たりの売上高を着実に伸ばしてきた結果といえる。

「経営×統計学」



週刊ダイヤモンド編集部


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