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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

管理職の異動は8割失敗する、部下の残業が増えるだけ

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第52回】 2016年10月24日
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 「私、このたび青天の霹靂でまったく経験のない営業課長を拝命いたしました。もともと製造畑ですので何もわかりませんが、皆さんのご協力を得て、業務をまっとうしたいと思います」

 大変迷惑な話だが、定期異動の季節になると、こういう挨拶を聞くことになる。

異動先での活躍が期待される管理職ですが、現実は異なります

 ジョブローテーション(*)は、「人材育成上、価値あることだ」ということになっている。まったく知らない世界(部署)で異文化に触れ、これまでとは違うスキルを身につけ、幅広い見識をマスターすることができる。それまで仕事の相手であった「向こう側」の業務のメカニズムを知ることで、自分が今までしてきたアクションがどのように受け止められるのかを肌感覚で知ることもできる。

 さらに、全社的にジョブローテーションを行えば、自然と人的ネットワークが広がる。知り合いが増えるだけでも「頼みやすい」関係が生まれるし、たこつぼで「個別最適化」になりがちなところを、お互いの利害関係を整理した「全体最適化」につなげることができる。すると、仲間意識が生まれ、会社としての調整力も上がる。このようなメリットを見るならば、誰でもジョブローテーションは素晴らしいものだと感じるだろう。

 しかし、私はジョブローテーションを基本的にあまり肯定しない立場である。実際のところはどうなのか。若手、中間管理職、経営幹部と、3つにわけて考えてみよう。

 *ここでは、数年ごとに関連の少ない別の職務を経験させること、という意味で使っている

「管理職」が異動してくると
部下の残業時間は間違いなく増える

 まず若手の異動の場合、たまたま配属された業務が適任であるのかわからないので、ジョブローテーションはいろいろな可能性を試す上でも良いだろう。いろいろな経験を得ることも重要だ。社内に様々な人的ネットワークを作ることができる点でも良い。その業務だけを続けている人には後れを取り、専門性を極めるうえでは多少遠回りになるが、そこで負けないように頑張るのも能力アップにつながる。つまり、若い人のジョブローテーションには意味があるといえると思う。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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