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部下が育つ叱り方
【第6回】 2010年12月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
本間正人 [成人教育学博士]

いざ「部下を叱る」場面での基本的な心得【後編】

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 今回は、前回の続き「叱るための基本的な10の心得」の後編です。

他人と比較しない

 インド出身の哲学者クリシュナムルティは「比較は暴力である」と言いました。自分以外の人間と比較されても、同じ人ではないのですから、まったく同じようにできるわけがありません。育ってきた環境も違いますし、現在のライフスタイルも違うかもしれません。

 上司としては、つい仕事のできるほかの人間と比較して、相手を責めてしまいがちですが、比較は何らかの尺度に基づくあくまでも一面的な見方です。その人の一部分だけを取り上げて評価するのは、相手の可能性の過少評価につながりかねません。実際、誰かと比較して批判された人は、「私には、あの人にできないことができるのに……」と思うこともあるのではないでしょうか。こうした表現は、相手と向き合っているようで、実際には、心が向き合っていないことが多いものです。相手の問題点や課題について話しているのに、意識はほかの人のほうへ拡散している場合が多いのです。

 また、「Aさんを見習え」などと言ってしまうことによって、その相手とAさんとの関係にも影響を及ぼしてしまうことがあります。それまでうまくいっていた二人の関係が、軽率な一言で変わることもあります。職場の中に不毛な対立関係を作るのは、得策とはいえません。

 ここで気をつけたいのは、比較と競争の違いです。ライバル関係にある人間どうしを競わせて、お互いのやる気を高めたり、成績を伸ばすやり方は、よく見られますし、有効な方法といえるでしょう。しかし、同じ土俵の上に立って、お互い合意のもとで目標がある場合は競争といえますが、唐突に別の人を引き合いに出すのは、競争とはいえません。ルールのない状況の中で比較されるのはフェアではありませんし、効果を生む可能性も少ないでしょう。

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本間正人 [成人教育学博士]

1959年東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒業後、松下政経塾で松下幸之助の経営哲学を学ぶ。卒塾後、ミネソタ大学大学院修了(成人教育学博士、 Ph.D.)。ミネソタ州政府貿易局日本室長、松下政経塾研究部門責任者などを歴任し、現在、NPO法人学習学協会代表理事、帝塚山学院大学客員教授、NPOハロードリーム実行委員会理事などをつとめる。企業や地方自治体の管理職研修を担当しつつ、教育学に代わる「学習学」の構築を目指して、研究・講演活動を展開している。主なテーマは、コーチングの他、キャプテンシップ(プレーヤーとしてのリーダーシップ)、個人と組織の学習、戦略プランニング、創造力開発、学習スタイルなど多岐にわたる。NHK教育テレビ「実践ビジネス英会話」の講師などを歴任。コーチングやポジティブ組織開発、ほめ言葉などの著書多数。
ホームページ「らーのろじー株式会社」


部下が育つ叱り方

「コーチング」というと「とにかく相手をほめること」だと考えている人が少なくないようです。そのうえ、「叱る」ということを、相手に対して一方的に怒ったり、責めたりすることだと誤解していると、「コーチング」と「叱る」ことが対極に位置するものに見えてしまいます。効果的な「叱り方」を身につけ、実戦しましょう。

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