「Galaxy Note 7」発火問題
不安は高級モデル主導の北米市場

発火したGalaxy Note 7を持つ女性(ホノルルで) Photo:AP/AFLO

 サムスンの高級スマートフォン「Galaxy Note 7」の発火問題は、リコールでは解決せず、生産終了、全品回収という結末を迎えた。この問題の影響が最も懸念されるのが米国市場だ。

 米国運輸省は、10月14日にNote 7の航空機内への持ち込み禁止を発表した。違反者には刑事罰が科される。

 日本のスマホ市場では、これまで高級モデル、普及モデルという価格帯の違いを意識することはなかった。最近ではNTTドコモが19日に発表した650円前後で発売するスマホが、中国ZTEの低価格モデルであり、もしかすると日本でも今後本格的に低価格モデルが普及することがあるかもしれない。しかし、少なくともこれまでは、同じメーカーのスマホであれば、高級モデルも普及モデルもなく、端的に言えば、日本市場には高級モデルしか上市してこなかった。

サムスンのスマホ「持ち込み禁止」の告知

 視点をグローバルな市場に移すと、中国、アジア、中南米などの市場では比較的低価格のスマホが売れ、欧米諸国や中国の富裕層向けには高級モデルが売れるという棲み分けがあり、今回問題になったサムスンのnote 7は同社の高級ラインアップであるSシリーズの商品であるから、低価格モデルがメインの市場ではnote 7問題による消費者のイメージダウンは限定的と言えるであろう。むしろ、影響が懸念されるのは、高級モデルが売れる市場、とりわけ北米市場である。

 サムスンやLGなど韓国の大手家電メーカーと日本の家電メーカーの最大の違いは、グローバル化の本気度である。日本には幸か不幸か中途半端にサイズの大きい国内市場というものがあり、海外で苦労しなくても日本でそこそこのヒット商品を出せればそれなりの成果につながってきた。

 だからこそ、海外の市場でうまくいかなくなると国内志向が高まり、海外市場からの撤退によるコストダウンで一時的なV字回復ができてしまうのだ。これが、日本の家電メーカーに甘えを許している原因の1つである。