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みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司

数学が苦手だと就活のスタートラインにも立てない?
「適性検査」対策と“抜け道”に翻弄される学生たち

石渡嶺司 [大学ジャーナリスト]
【第8回】 2011年1月11日
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よくある光景~「なんでも対策」に振り回される学生

 俺、柘植太はどうにか内定が欲しいどこにでもいる大学生だ。

 就活を乗り切るためには戦略と戦術、すなわち対策が必要だ。ある就職コンサルタントが情熱的に言っていた。

 「対策を常に考えればどんな難題も乗り切れる」

 俺もそう思う。

 そこでまず自己分析をしてみたところ、インフラ業界に向いているらしい。

 なるほど、確かにそう簡単には潰れそうにない業界だ。こいつはいい。ただ、総合商社やアパレル業界も気になる。無理に絞る必要はないからそれぞれ考えることにしよう。

 次にリクルートスーツを買ってみようと思った。大学の先輩に相談すると、1着で十分という人もいれば、業界に合わせた方がいいという人もいた。俺は後者を参考に3着そろえた。お金はかかるが、対策のための費用と考えれば安いものだ。

 次に適性検査対策。俺は私大文系で数学が致命的に弱い。ここはきちんと勉強しないとまずいだろう。何しろ、適性検査は就活を大学入試にたとえればセンター試験のようなもの。ここを乗り切らないと。

 そこで問題集を5冊買って、毎日4時間勉強することにした。対策のためには必要なことだ。さらに性格診断テストの対策も必要と聞いたのでその対策もすることにした。

 対策を固めるために、ある就職コンサルタントのセミナーに参加したところ、有料セミナーにも誘われた。12回で12.6万円、それから宿泊研修が1泊2日で2万円。高額だが就活対策のためには必要な費用だ。親もその費用を出してくれた。ここまで対策をすれば就活もうまくいくだろう。

 大学を卒業して1年が経つ。僕は今、鋭理ダイヤン教の道場にいる。就活はその後、惨憺たる結果に終わった。あれだけ対策をしたのに、就活なんて本当に不条理だ。

 一時は自殺まで考えた。

 そんなとき、今の鋭理ダイヤン教に出会うことができた。世の不条理を正し、教えを守れば自分にも力を与えてくれる。なんて素晴らしい教えなのだ。入信してからの僕は幸せだ。

 今日は教祖様の講話を聴ける日だ。今日はどんな話をしてくれるのだろう。

 「我がを世に広めるために何ができるのか、対策を考えなさい。対策を考え行動すればどんな難局にも耐えられるだろう」

 本当にその通り!どっか昔に聞いた気もするが、多分、気のせいだろう。

※ここまでの部分はフィクションです

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石渡 嶺司 [大学ジャーナリスト]

1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。日用雑貨の営業の派遣社員、編集プロダクションなどを経て2003年に独立。日本全国350校を超える大学を調査、とくに就職活動をめぐって、学生や大学就職課、教職員団体、あるいは高校生向けに積極的な執筆や講演活動を行う。主な著書に『就活のバカヤロー』『最高学府はバカだらけ』(以上、光文社新書)、『ヤバイ就活!』『就活のバカタレ!』(以上、PHP研究所)などがある。


みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司

「第二次就職氷河期」といわれる現在。学生、企業、大学、親など、取り巻く関係者すべてに悲壮感が漂っている。こうした悲壮感が漂うなか、彼らの実態とはどのようなものなのか。その様子を時系列で追いながら、誰が就活を悲惨にしているのか、“犯人”を探る。

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