中国経済の減速が神戸製鋼所を直撃している。同社は鉄鋼や建機の事業規模が最大手より小さく、コストが割高になりがち。高付加価値路線に活路を見いだすが、技術力で生き残れるか正念場を迎えている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

 神戸製鋼所は10月31日、2017年3月期の業績予想を下方修正した。営業利益は前年比34.2%減の450億円。営業利益率は2.7%に沈む。大減益の元凶は主力事業にある。同期予想では鉄鋼部門の経常損失が300億円、建設機械部門のそれが10億円。両事業とも、2年連続の経常赤字となる見込みだ。

 屋台骨が揺らいでいるのは、中国経済の低迷が続いているからだ。図(1)から明らかなように、神戸製鋼の業績は中国に翻弄されてきた。

 建機需要の激減と、生産過剰による鋼材価格の低迷のダブルパンチを緩和するための事業改革が急務となっている。

 求められる対策は大きく二つだ。

 第一に、中国での建機需要がピーク時から7割減少したことへの対応だ。すでに、建機の現地工場の要員を最盛期から4割削減。その上で、現地生産した完成品をアジアへ、建機部品を日米両国へ輸出することで中国の生産能力を適正化する。

 より重要なのは第二の対策の方だ。鉄鋼部門で、市況の影響を受けにくい高級鋼の構成比を上げる戦略を描いている。