1月14日、菅政権が内閣改造を行った。改造の目玉の一つが、たちあがれ日本を離党した与謝野馨氏を経済財政担当大臣に任命し、税・社会保障制度の一体的な改革に取り組むことだ。平たく言えば、高齢化によって膨らむ社会保障費とその財源をどうするか、ということである。
だが、税制・社会保障制度は、まさに「国のかたち」をなす礎石の一つである。要は、この国をどのような理念、基本原則で運営するのかが問われるのだ。
日本はいま構造的な変化に直面しているといわれる。まず検証すべきは、構造変化への対処は、従来の枠組みの改革で対処できるのか、抜本的な改革が必要なのか、である。したがって、大切なことは、各政党がどのような構造変化に直面しており、それが税・社会保障にどのような影響を及ぼすと認識しているかということである。
そこでここでは、日本が直面している構造変化とはどのようなものか、それがどんな課題を突き付けているのかを、簡単な数字をベースとしながら、いま一度整理してみたい。
人口減少高齢化・低成長で社会保障に
どのような問題が起こっているのか
日本が直面している、最も重要な構造変化は人口減少・高齢化とグローバリゼーションであることに異存はないだろう。
日本はすでに2005年から人口減少社会に突入している。これから人口減少と高齢化が、近代社会に入って、どの国も経験したことのないスピードで進む。
人口減少・高齢化がもたらす最大の影響は、GDP(国内総生産)つまり経済成長率の低下である。これが税・社会保障に大きなインパクトを及ぼす。簡単に言えば、GDPは労働者の数の増加と生産性の上昇率(1人当たりの労働者がどれだけのモノやサービスを生み出せるか)によって決まる。例えば、生産性が変わらないとしても、労働者が1人から2人に増えれば、GDPは2倍になるし、労働者が1人のままでも、生産性が2倍になれば、GDPは2倍になる。