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「良いトランプ」への変貌は期待しないほうがいい

藤原帰一・東京大学法学政治研究科教授インタビュー

ダイヤモンド・オンライン編集部
2016年11月16日
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数々の問題発言にもかかわらず次期米大統領に選出されたトランプ氏。この新しいリーダーの下で、米国はどう変わっていくか。またトランプ氏自身、変わっていく余地はあるのか。国際政治学者の藤原帰一氏が予想を語る。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 深澤 献)

──次期大統領に決まったトランプ氏について、どう見ていますか。

 えーっ、こんな人が米国の大統領なの…というのが正直な気持ちです。

ふじわら・きいち
東京大学法学部法学政治学研究科教授。1956年生まれ。専門は国際政治、東南アジア政治。東京大学法学部卒業後、同大学院単位取得中退。その間に、フルブライト奨学生として、米国イェール大学大学院に留学。東京大学社会科学研究所助教授などを経て、99年より現職。著書に『平和のリアリズム』(岩波書店、2005年石橋湛山賞受賞)など
Photo by Kazutoshi Sumitomo

 人によっては、これまでのトランプ氏の暴言の数々はあくまで選挙期間中だけのものであって、大統領になったら変わるんじゃないかという意見もあります。この先は「良いトランプ」になって「普通の大統領になる」という論調に、雪崩を打って進むと考えられますし、私ももちろん、それを願っています。しかし、あまり期待しないほうがいい。そうなるという根拠が見えないからです。

 なんといっても、マイノリティの迫害を正面から訴えてきた候補が大統領になるという意味は大きい。米国というのは人種差別を克服しようとしながらも、それが残ってきた国です。そのため、とりわけアフリカ系、ラテン系のマイノリティの人々の、政治に対する見方は冷えていました。決して積極的な評価ではないけれど、自分たちが蔑ろにされているという評価を政治に対して持っていた。その人たちを、さらに阻害することになります。

 マイノリティの問題についてトランプ氏が最初にどこから手をつけるか分かりませんが、シリア難民の受け入れ拒否は間違いないでしょう。これは米国内でそれほど反対がありませんから。問題はその後です。イスラム教徒の入国拒否については現在、彼のホームページから削除されているので、落とそうとしているのかもしれません。そうはいっても問題は残るわけで、米国内のイスラム教徒は自分たちが迫害されることに恐怖を感じています。

──米国の各地で反トランプのデモが起こっていますね。

 多少の逮捕者は出ているとはいえ、まだ平和的に済んでいます。あれがもし逆にクリントン氏が勝って、トランプ支持者が「選挙に不正があった」などと騒ぎ始めたら、すぐに暴力的なものに至ったかもしれません。

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