西日本エリアから厳選した7本。東日本編に登場した端正なイケ面系とはまた違った、カラフルで個性豊かな顔ぶれが揃った。

 前回の本欄でも告知したように、今回は「平成22BY新酒飲み比べ<西日本編>」をお届けする。

 選出した7本は、東から西に並べると以下のとおり。

(1)「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」純米吟醸 件の山田(愛知県名古屋市)
(2)「常きげん(じょうきげん)」純米無濾過生原酒(石川県加賀市)
(3)「風の森」純米大吟醸 キヌヒカリ45%磨き しぼり華(奈良県御所市)
(4)「富久長(ふくちょう)」純米吟醸 中汲み槽しぼり(広島県東広島市)
(5)「川亀(かわかめ)」純米吟醸 中汲み無濾過生原酒(愛媛県八幡浜市)
(6)「獺祭(だっさい)」純米大吟醸48 寒造早槽(山口県岩国市)
(7)「山の壽(やまのことぶき)」純米吟醸(福岡県久留米市)

 東海(静岡県を除く)・北陸・近畿・四国・九州エリアからそれぞれ1本、中国エリアから2本を選出。このラインナップのなかにはパリの3ツ星レストランでも扱われている「醸し人九平次」や、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」にも登場した“現代の名工”農口尚彦杜氏が醸す「常きげん」など、日本酒ファンにとってはメジャーな銘柄から、一部のコア層に支持されているローカルな銘柄までをピックアップした。

 選出基準も<東日本編>同様、1本当たりの単価を1500円(720ml)前後に限定、規格も醸造アルコールを添加しない純米吟醸クラス(「純米」表記でも精米歩合が60%以下なら可)に統一した。

 こう書くと、効率性を最優先してセレクトしたように思われがちだが、今回の7本を決めるために試飲はもちろん、(試飲しただけで店を出るわけにもいかないので)実際に購入したものの最終的に選外となり、拙宅のクーラーボックス入りせざるをえなかった酒もかなりあった。

 名前は伏せるが、岐阜・福井・滋賀・奈良・兵庫・高知・山口・佐賀の酒の計8本(東日本編のときは5本)が、残念ながら今回の企画では陽の目を見なかった。

 この手のコンペティションに「たられば」が禁句であることは承知しているが、「○○ではなく△△を選出していたら、A県の酒ではなくB県の酒をセレクトしていれば、評価・順位はどうなっていただろう」と毎回かなり心を痛めていることを知っておいていただきたい。