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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

スバルがトランプ政権下でも北米市場で快走できる理由

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第43回】 2016年11月18日
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生産車は主に米国、カナダで販売している。2017年3月期のスバル生産台数は、過去最高の33万6000台(対前年比42.3%増)を計画している。 Photo:SUBARU

富士重工業の快進撃は
「集中と選択」戦略にある 

 リーマンショック以降、苦境を乗り越えてきた日本の自動車メーカーは好調だ。特に「スバル」ブランドの富士重工業の躍進は目覚ましかった。それは、吉永泰之社長による経営戦略として実施した「集中と選択」だった。「米国一本足打法か」と揶揄されても米国での「スバル」ブランドに磨きをかけ続けた。結果、「売れ過ぎてタマが足りない」状況を生み出し、収益力抜群の北米を中心とする自動車事業を確立してきたのだ。

 富士重工業の業績において特筆すべきは、売上高営業利益率の高さである。10%以上の営業利益率をキープし、前期2016年3月期(2015年4月~2016年3月)は実に17.5%を示した。その最大要因は、米国におけるスバル車増販と台当たり利益の高さにある。日本車の中で本業の儲けを示す営業利益率が2ケタ台に乗せているのは、最も高い経営効率を確保しているといえよう。

 その富士重工業は今期2017年3月期(2016年4月~2017年3月)の連結純利益が2780億円(前期比36%減)になる見通しだと発表した。これは従来の予想を70億円下回る。営業利益は3730億円(同34%減)で270億円下方修正した。

 これにより、これまで快進撃を続けた富士重工業も円高で輸出採算が悪化し、業績面でかげりが出てきたという見方になった。

 しかし、これは同社が第2四半期の決算発表時に、この下期の想定為替レートを1ドル=100円、通期で1ドル=104円に設定したことによるものである。一方ではスバルの主要市場である米国の販売自体は好調で、連結販売台数について前回計画の104.97万台から今回計画の106.24万台に上方修正し、5年連続過去最高となる見込みだ。

 つまり、円高で輸出採算を悪化させたために減収減益予想としたものの、それでも営業利益率は11.7%をキープする。好調な米国販売を背景に米国生産拠点における生産能力を増強させ、生産倍増を図るスバルとしては、為替レートの影響は軽微にすぎず、営業利益率が高いために短期的には減益であっても、長期的には高い経営効率の維持が見込めるためだ。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

「モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫」

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