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氾濫する医療情報の危うさ、体験談の鵜呑みは危険!

「週刊ダイヤモンド」2013年8月31日号特集「人気医療の罠」より

週刊ダイヤモンド編集部
2016年12月1日
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不正確な情報が多いと批判され、DeNAの医療情報サイト「WELQ」が全記事を非公開するに至った。専門知識のない人たちが命に関わる医療・健康情報を扱っているということで大炎上したわけだが、それでは権威のある学者が推奨する治療法ならば、効果を信じていいのか。答えは「ノー」だ。特に保険が適用されない自由診療には信頼度の低いものが氾濫している。(「週刊ダイヤモンド」2013年8月31日号特集「人気医療の罠」より。肩書きや内容は掲載当時のまま)

 埼玉県に住む北上大介さん(70歳、仮名)は夏が訪れるたびに亡くなった妻を思い出す。妻がスキルス胃がんと診断されたのは5年前の7月。定期検査でがんが見つかるまでは、看護師として元気に働いていた。だが、すでにがんはステージ3まで進行していた。

 妻の闘病生活が始まった。埼玉県立がんセンターで8カ月間にわたり、3種類の抗がん剤を投与した。しかし、がんは転移して好転の兆しが見えない。そこで、北上さんは自らがん治療の勉強を始めた。書店やインターネットで情報を探すうちに、ある記述に目を奪われた。

 「免疫力をつければ、がんを根絶できる」

 抗がん剤が効かなくとも、この方法ならばもしかすると──。

 わらにもすがる思いで「免疫療法」を行っている神奈川県内の病院の門をたたいた。血液を採取し免疫細胞を培養して戻す治療が1回約40万円。免疫力を強化するという病院独自のサプリメントが約5万円。「最新の治療法」なので保険が適用されない自由診療で、費用は全額自己負担だった。

 がんセンターの主治医に相談したときに、「効かないのでやめたほうがいい」とアドバイスされた。だが、病院でもらった冊子に載っていた「スキルス胃がんでも、免疫療法で海外旅行ができるようになった」という体験談に引きつけられ、治療を受けると決めた。

 約2カ月間で治療費約300万円を払った。だが、妻の病状は一気に悪化し、その1カ月後に亡くなった。 

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