3年ぶりのホテル・ランキング、「日本のベストホテル2011年版」です。一般人のホテルユーザー1万人にアンケート調査を行ない、「最近3年間に泊まったホテルの中で、最も良かったホテルはどこですか」「悪かったホテルは?」などについて聞き、100位までをランキングしました。
結果は、1位が帝国ホテル(東京)、2位がザ・リッツ・カールトン大阪。ここまでは3年前の調査と同じでしたが、3位以下が大激変でした。
3位のリーガロイヤルホテル(大阪)や、5位の名古屋マリオットアソシアホテルなど、記者が実際に泊まったり、総支配人をはじめとするスタッフを取材したりして、評価が躍進した秘密を探ってきました。
全体として「ユーザーの評価は厳しくなっています」(大手ホテルチェーン経営者)が、その背景には、この期間中に起きたホテル市場の大収縮があります。08年秋のリーマンショックに端を発する世界同時不況で、ホテル利用が急減。特に、大企業の欧米ビジネスマンの訪日出張で使われていた高級ホテルの需要が激減しました。
前年までに日本に進出していたザ・ペニンシュラ東京、マンダリンオリエンタル東京、コンラッド東京などの外資系高級ホテルの稼働率は、日を追うごとに下がっていきました。それを食い止めようと、客室の値下げを販売しましたが、収益の低下は止まりません。
仕方なく、人件費や設備更新費など色々ななコストを削減。それが、サービスレベルの低下につながり、今回のアンケート調査に表れたようです。
こうした流れに拍車をかけたのが、ホテルの機能の分化です。帝国ホテルのように、ホテルのオーナーが経営や運営を担う従来型から、所有・経営・運営の機能が分離した新型ホテルへの移行が、ここ数年で進み、利益とサービスの質のバランスが崩れ始めています。本特集では、この構造的な転換を追っています。
ビジネスホテルについても、1万人のユーザー評価により、全国で162のベスト・ビジネスホテルを選びました。各地への出張の際に、ぜひご活用ください。
アパグループやスーパーホテルなど、6つのビジネスホテルチェーンについては、徹底比較しています。低価格を大前提にして、大浴場や快眠ベッド、豪華朝食など、それぞれが独自性を発揮して、ユーザーメリットを高めている競争をレポートしています。より良いホテルに、より安く泊まるための情報や方法も満載です。
また今号では、日本銀行総裁の白川方明氏の独占インタビューも掲載。日本経済の構造問題、デフレ克服に向けた金融政策、財政赤字リスクや円高の背景、インフレ・ターゲット論の限界など、10ページにわたる超ロングインタビューです。
金融業界関係者はもちろん、ビジネスマンや個人投資家、研究者にとって、示唆に富んだ話を披露していただきました。ぜひご一読くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 大坪 亮)