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みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司

「リーダーシップ」「積極性」など抽象表現が大流行!?
落ちるエントリーシートを書く学生は何がダメなのか
――読売新聞採用担当デスク・原田康久の熱中スペシャル

石渡嶺司 [大学ジャーナリスト]
【第11回】 2011年2月1日
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よくある光景~エントリーシートはいつもすれ違う

 福島教養大商学部の瀬上高子はエントリーシートをどう書くか悩んでいた。自分の話など、うまく書けるわけがない。

 そこで、先輩学生や親に添削してもらい、さらにエントリーシートの参考書を買って、がんばって書いてみた。

 しかし、連戦連敗。あんなにも一生懸命に書いたのに、どうして落とされるのか。どうせ企業はろくに読んでいないのだろう。学生が一生懸命に書いたものを落とすなんて。どうせ企業は私たち学生のことをバカにしているのだろう。それとも私が女だから?地方の大学だから?そう言えば、志望順位が上で第一志望群だった福島電力もエントリーシートで落とされた。

 その話を、偶然出会ったジャーナリスト・富岡竜田さんにしてみた。富岡さんは私のESをざっと読んでくれた。しかし…、

 「僕はアウトサイダーなんで文章しか分からないけれど」

 と富岡さんは言った。

 「これ君の話が全然ないよね。何を言いたいのか分からないよ」

 一生懸命書いたのに全否定。私の人格まで否定された。じゃあどう書けばいいの?

 福島電力人事部の草野いわきはエントリーシートの山を前にため息をついていた。人事部の採用チームで手分けするとは言え、1人が読む枚数は1000枚。これでも少ないらしく、先日参加したアキヤマゴハンとかいうふざけた名前の採用担当者交流会に行ったところ、大手企業の採用担当者は2000枚以上読むこともあるそうだ。

 うちのような田舎の企業はその点でまだ楽だ。それでも1000枚もある。そして読めば読んだでろくなものがない。

 「私はチャレンジ精神があります」
 「私は積極的な性格です」
 「私が得意とするのは…」

 私は、私は、私は。コミュニケーション能力、チャレンジ精神、得意、大学時代…。そうしたキーワードがまずいわけではない。ただ、抽象表現ばっかりで何を言いたいのか、どんな学生かさっぱりわからない。当然、時間が余計にかかる。これだけ、就職難と騒がれているんだ。誰か、学生にエントリーシートの書き方教えてやってくれよ。というか、誰でもいいから抽象表現書いたら落ちるというマニュアル書けよ。それともいっそ俺が書くかな。

※ここまでの話はフィクションです

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石渡 嶺司 [大学ジャーナリスト]

1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。日用雑貨の営業の派遣社員、編集プロダクションなどを経て2003年に独立。日本全国350校を超える大学を調査、とくに就職活動をめぐって、学生や大学就職課、教職員団体、あるいは高校生向けに積極的な執筆や講演活動を行う。主な著書に『就活のバカヤロー』『最高学府はバカだらけ』(以上、光文社新書)、『ヤバイ就活!』『就活のバカタレ!』(以上、PHP研究所)などがある。


みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司

「第二次就職氷河期」といわれる現在。学生、企業、大学、親など、取り巻く関係者すべてに悲壮感が漂っている。こうした悲壮感が漂うなか、彼らの実態とはどのようなものなのか。その様子を時系列で追いながら、誰が就活を悲惨にしているのか、“犯人”を探る。

「みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司」

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