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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

格付けに一喜一憂する必要なし!
公務員のリストラが始まる米国との彼我の差

田村耕太郎
【第5回】 2011年2月1日
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チャンスに自爆する首相

 S&Pによる、日本国債ダウングレードがここ米国でもウォールストリートジャーナル等で話題になっている。話題になったのは菅首相が「その問題には疎い」と発言したことだ。同紙では「格下げは財政再建をサポートする材料だったのに、わざわざそれで自爆した」と辛らつだ。日本のリーダーの不適正な発言は後を絶たないし、それは問題だ。しかし、日本のメディアが格付け機関の発表する格付けを金科玉条のように扱うことには大きな違和感を持つ。

 日本の財政は深刻な問題で、現政権の財政運営は確かにひどい。しかし、だからといって、米格付け会社のダウングレードに一喜一憂することがおかしい。格付けは評価でも分析でもなく”意見”なのだ。無責任な格付け会社の意見に大騒ぎしてはいけない。注目が集まって喜ぶ彼らを調子づかせてはならない。金融危機の共犯ともいえる格付け会社の“意見”をお墨付きにするのは大間違いである。

 自らトリプルAを与えたものがバンバン破綻して米議会に呼ばれたS&P、ムーディーズ、フィッチのトップらが、公聴会の席にて、泣きそうな顔で「格付けは評価や分析じゃないんです。単なる”意見”なんです」と無責任に逃げ回っていた様子は何度もアメリカでリプレイされている。

 ムーディーズにいたっては、大量の住宅ローンを担保とした債務担保証券(CDO)の格下げを、2007年のクリスマスイブの深夜に行っている。ホリデーシーズンの真っ只中で誰もが寝静まった後に証拠隠滅に走ったといってもいいのではないか。

誰のための格付けなのか?

 格付けにしろ、監査にしろ、誰のためにやっているのかを考える必要がある。もっと正確に言えば、格付けや監査の費用を払っているのは誰か?債券や株の保有者のために、発行者から独立して格付け・監査しているのだろうか?発行体からお金をもらって格付けしている現在、発行体から独立して格付けしているとはいえないだろう。監査も監査対象会社からお金をもらっているので同じだ。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

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