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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

ベンチャー王国イスラエルの悩み
大企業が育たないことが地域不安定化につながる

田村耕太郎
【第39回】 2012年2月8日
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世界一の起業大国

 起業大国と言えばどこを思い浮かべるだろうか?当然アメリカだろう。実は世界一の起業大国はイスラエルである。起業と言ってもレストランや小売店ではなく、イノベーション付きのハイテク起業である。米ナスダック市場ではイスラエル企業が140社近くある。日本のベンチャー企業の上場はゼロだ。

 ハイテク産業は同国の輸出の40%を占め、民間労働者の14%が従事する。ベンチャー企業への資金投資額は米国に次いで多く、ベンチャーの数、特許取得件数なども世界トップレベルでもある。科学者が評価する世界の研究開発機関の質ランキングでも、イスラエルが世界一。スイス、英国、スウェーデン、ベルギーが続き、日本は11位。

 なぜイスラエルで起業が多いのか?それには以下のような理由がある。

厳しい環境が技術育てる

・高い高等教育レベルに加え、ソ連崩壊時に優秀なロシア系ユダヤ人頭脳が流入
・シードマネー供給をするベンチャーキャピタルが豊富
・敵に囲まれ軍事技術発展
・不毛の地なので食糧生産技術発展
・資源に恵まれず代替エネルギー技術発展
・大学が実践的研究をしている
・徴兵制のもと早熟でリーダーシップがある
・敵に囲まれハブ戦略はとれない
・大企業がなく、自分で雇用を造るしかない

 まずなんといっても、「教育」に力を入れているだけあって、頭脳の集積がある。ソ連崩壊時にロシア科学アカデミーに属するロシア系ユダヤ人が大量に流入したことも大きい。イスラエルの大学の理科系は、特に実践的な研究に注力している。優れた人材プールの存在は大きい。技術を起業化するのに資金を提供するベンチャーキャピタルの存在があるのも日本とは違う。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

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