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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

二度地獄から這い上がった台湾系NBAスター
ジェレミー・リンの成功に学べ

田村耕太郎
【第41回】 2012年2月24日
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60年ぶり、ハーバード卒の
プロバスケットボール選手

 アメリカ中を熱狂させているアジア系プロスポーツ選手がいる。残念ながら、ダルビッシュでもイチローでもない。アメリカのプロバスケットボールリーグ、NBAの新しいスター、ジェレミー・リン選手だ。このリン選手、いろいろな意味でユニークな選手なのだ。

 生れはシリコンバレーのど真ん中、カリフォルニア州パロアルト。台湾系アメリカ人でハーバード大学卒。ハーバード大卒のNBA選手というだけで、1954年のエド・スミス氏以来、58年ぶり。台湾系NBA選手は史上初だ。これだけでもきわめて異例な存在だ。

 ハーバードに入った経緯もNBA入りした経緯も波瀾万丈。当時、地元パロアルト高校で知らない者はいないと言われたほどの有名選手。キャプテンとしてチームを率いた05-06年のシーズンでは32勝1敗という驚異的な勝率を誇った。それなのに、アジア系ということで有名大学のスカウトは無視。バスケットコートで練習していると「今日はバレーボールの試合はないよ」(アジア系にできるのはバレーで、バスケットは下手という偏見)と辛らつなジョークを言われたこともあるという。

 ということで体育学生奨学金制度のあるスタンフォード大学もスカウトしなかった。サンフランシスコ大学のコーチ、レックス・ウォルターズは、NCAAのドラフトルールがリンに不利だったと語る。「殆どの大学が、選手を最初の5分間だけ見て、すごく速く走るか、すごく高くジャンプするか、など簡単にすぐ評価できることで選ぶ」。今ではリン選手をスカウトしなかった当時のスタンフォード大学バスケットボール部のスカウトが「大学の道の前をこんな選手が毎日歩いていたのに、なぜ気付かなかった!?」と袋叩きにあっている。

 リン選手本人も「私のゲームを理解してもらうには、二度以上見てほしい。派手なこともしないし、すごい身体能力があるわけでもないから」と当時を振り返る。「前例を無視して革新を目指す」というベンチャー魂が校風のスタンフォードでも、実情は「アジア系バスケットボール選手の可能性」を発掘できなかったのだ。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

「田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」」

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