同じ人が同じ仕事をやり続けると、
仕事が“風景化”する

 わが社は、定期的に人事異動を行います。ほぼ毎月、人事異動がある会社です。
 5年以上、同じ部署で働くことはありません。

 営業系の若手社員は、ひとつの職場での在籍期間を3年、事務系は5年として他の部署に転属させます。

 事務系の部長は、一度、営業の体験をさせます。経理部長は、営業課長を経験した人を登用します。

 頻繁に人を動かす理由は、「今と同じ人では、変化が起きない」からです。
 同じ部署に長くいると、自分は仕事ができると錯覚してしまう。また、過去の体験にしがみつき、変化や失敗を恐れるようになります。
「1年後も今と同じでいい」と思っている人は、今と同じ努力しかしない。これでは残業を減らすことは不可能です。

 人間は、同じ仕事をやり続けると新鮮味が薄れ、客観性を失います。結果として仕事が風景化して、ムリ・ムダ・ムラに気づかずに放置する。
 でも、人事異動で部署が変われば、フレッシュな気持ちで業務に当たるため、惰性で仕事をすることがなくなります。

 同じ人が同じ仕事を続けると、仕事が「属人化」します。属人化とは、「特定の人にしか仕事のやり方がわからない状態」です。

「この件は○○さんに聞かないとわからない」「あの仕事は△△さんでないとできない」など「人に仕事がつく」と、その人が病気で休んだり退職したりしたら、仕事が回らない。また、仕事がブラックボックス化して、不正の温床にもなる。

 株式会社ISO総合研究所(大阪府/ISO・Pマーク運用代行)は、ISOとPマークの新規取得・運用のサポートをする会社です。
 山口智朗社長は「以前のISO総研は、『人に仕事がついていた』ことが原因で残業が発生していた」と言います。

「以前はクライアントごとに担当者が決まっていて、担当者は、ひとりですべての作業を受け持っていました。でも、これでは人に仕事がついてブラックボックス化し、他の社員が手伝うこともできません。そこで、仕事のやり方を切り替えました。具体的には、『ベストテン管理』です。仕事を納期順に並べてベストテンを決め、納期の早い順に『手の空いている人』が週単位で作業をします。こうすることで社員の疲労も軽減され、辞める社員が少なくなりました。また、仕事が平準化されてミスも減りました」(山口社長)