予想外だらけの世界政治
英EU離脱やトランプ氏当選
2016年は、世界政治の中で予想外のことが起こった年だ。英国のEU離脱=ブレグジットの決定、そして、まさかのトランプ米次期大統領の当選と考えていなかったことが発生した。特に、ほとんどの専門家が予想しなかったトランプ氏の当選は大きな影響を与え、世界のマネーフローや株式、金利、為替等の金融市場に大きな波紋を投げかけている。
ブレグジットの動向も無視できない。欧州の中でも長い民主主義の歴史を持つ英国が、欧州全体の安定と繁栄を目指すEUからの離脱を決めたことは、単一市場にアクセスするメリット以上に、移民排斥を求める有権者がいかに多いかを確認する重要な機会になった。離脱交渉の内容次第では、英国に続けとEU離脱を求める国が出始める可能性もある。
今後、大陸欧州では重要な政治イベントが続く。12月は先日行われたイタリアの国民投票とオーストリア大統領選のほか、2017年3月にはオランダで総選挙が実施され、4~5月にはフランスの大統領選挙、そして9月にはドイツで総選挙が予定されている。
その中でも、当面、世界の投資家や政治・経済の専門家の注目を集めるのがフランス大統領選挙だ。足元では、中道・右派陣営のフィヨン元首相が、一部で有力視されていたジュペ元首相に圧勝したことに関心が集まっている。その一方で、極右政党である国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首への人気も根強く、最終的に、両候補の一騎打ちになるとの予想は多いようだ。
ルペン氏は強硬な反EU主義の考えの持ち主だ。もし、極右政党の党首が大統領に当選すれば、ドイツと並ぶ欧州の大国フランスのEU離脱=フレグジットが現実味を帯びてくる。それは今まで以上にEU崩壊の懸念を高め、世界経済にも計り知れないマイナスの影響が及ぶことが想定される。