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ニッポン 食の遺餐探訪

絶滅寸前の国産はだか麦、技術と工夫で現代に蘇る

樋口直哉 [小説家・料理人]
【第49回】 2016年12月7日
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雨が少なく、大きな河川もない香川県は米作りより麦などの栽培が盛んだった

 はだか麦という食べ物をご存じだろか。恥ずかしながら筆者も知らなかったのだが、はだか麦は大麦の一種で、手で揉めば簡単に外皮がはがれることからその名前がついた。

 11月から12月に種を撒き、5月のなかばには収穫できる大麦の栽培は鎌倉時代以降の二毛作の普及とともに広まった。製粉する必要がある小麦と違い、比較的簡単に食べることができる大麦は、米を補う主食として日本人の暮らしを長く支えていた。

讃岐はだか麦本舗、店主の高畑実代子氏

 やがて「貧乏人は麦を食え」の時代も終わり、状況は大きく変わっていった。1950年の時点で2万3200ヘクタールあったはだか麦の作付面積は1970年には1万1500ヘクタールに、1990年には2820ヘクタールという具合に減少していく。日本人の生活が豊かになり、二毛作が経済的にあわなくなったためだ。

 「子どもの頃に見ていた麦畑の景色を残したい」

 香川県にある高畑精麦のブランド「讃岐はだか麦本舗」店主の高畑実代子さんは、そんな思いからはだか麦のPRと普及事業に取り組んでいる。

ボソボソしない麦ごはん
米にはない独特の甘み

 香川県=うどん=小麦と連想されるが、はだか麦の生産も盛んな地域だ。都道府県別で見ると愛媛県に次いで全国2位、3位の大分県を加えた3県で、全国の生産量の9割を占める。

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樋口直哉 [小説家・料理人]

1981年生まれ。服部栄養専門学校卒。料理人として活動する傍ら、2005年、『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。ほかの作品に『月とアルマジロ』(講談社)、『大人ドロップ』(小学館)、『星空の下のひなた。』(光文社)、『ヒマワリのキス』(徳間書店)、『アクアノートとクラゲの涙』(メディアファクトリー)がある。

 


ニッポン 食の遺餐探訪

和食を世界遺産に、という動きが農林水産省を中心にはじまっている。日本料理はここ十年余りの世界的な流行になり、外国の料理人の多くも関心を持っていて、誰もがそれを理解しようとしている。しかし、当の日本人の多くは日本料理を理解できていないのではないか。そこでこの連載では、日本の食を支えている道具や食材をつくっている生産者、職人を訪れて、私たち日本人が知らない日本の“食の遺餐”を紹介していく。 

「ニッポン 食の遺餐探訪」

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