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医療ジャーナリスト 木原洋美「夫が知らない 妻のココロとカラダの悩み」

筋腫で「子宮全摘」手術を勧められたある夫婦の決断

木原洋美 [医療ジャーナリスト]
【第14回】 2016年12月9日
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「子宮全摘しましょう」
安易に摘出手術を勧める医師

(写真はイメージです)

 「子宮筋腫がたくさんありますね。ひとつは大人のこぶしぐらいの大きさですよ。頻尿とか便秘とかで困っていませんか。生理痛も重いですよね。貧血もあるようですし、手術してはいかがですか。子宮全摘がいいですね。お子さんも2人いらっしゃるし、年齢的にももう妊娠のご予定はないですよね。筋腫が大きいのでお腹を切ることになりますね。当院ではできませんので、大きな病院をご紹介しましょう」

 子宮がん検診で訪れた産婦人科の医師は、内診後、よどみない口調で語り、さっさと紹介状を書こうとした。

 「ちょっと待ってください。全摘ですか。あのう、筋腫だけ取るのではだめなんですか」

 千尋さん(仮名・42歳)は慌てて質問した。

 「もちろん、筋腫だけ摘出することも可能ですけどね。約20%の確率で再発するんですよ。2回も手術じゃ面倒くさいでしょ。根本的に治療するには、子宮の摘出手術しかありません。全摘してしまえば、生理もなくなって楽になりますよ。子宮がなくなるわけですから、子宮がんの心配もなくなります」

 初老の男性医師は、さも「あなたのためには、それしかありません。ワガママはやめましょうね」という顔でうなずく。そんな有無を言わさぬ威圧感に耐えて、千尋さんは言い返した。

 「わかりました。家族の世話などもあるので、私の一存では決められません。帰って、主人とも相談してからお返事します」

 医師は、おやおやという顔でこちらを見たが、それ以上の無理強いはしなかった。

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木原洋美 [医療ジャーナリスト]

きはら・ひろみ/宮城県石巻市の漁村で生まれ、岩手県の山村で幼少期を過ごし、宮城県の穀倉地帯で少女時代を送る。明治学院大学在学中にコピーライターとして働き始め、20代後半で独立してフリーランスに。西武セゾングループ、松坂屋、東京電力、全労済、エーザイ等々、ファッション、流通、環境保全から医療まで、幅広い分野のPRに関わる。2000年以降は軸足を医療分野にシフト。「常に問題意識と当事者感覚を大切に取材し、よ~く咀嚼した自分の言葉で伝え、現場と患者の架け橋になる」をモットーに、「ドクターズガイド」(時事通信社)「週刊現代 日本が誇るトップドクターが明かす(シリーズ)」(講談社)「ダイヤモンドQ」(ダイヤモンド社)「JQR Medical」(インテグラル)等で、企画・取材・執筆を深く、楽しく手掛けてきた。2012年、あたらす株式会社設立(代表取締役)。2014年、一般社団法人 森のマルシェ設立(代表理事)。森のマルシェでは、「木を遣うことが森を守ります」の理念を掲げ、国産材の樽で仕込む日本ワインやバルサミコ酢の開発等、国産材の需要を開拓する事業に取り組んでいる。


医療ジャーナリスト 木原洋美「夫が知らない 妻のココロとカラダの悩み」

長年連れ添った妻やパートナーが突然キレる要因は何か。なぜ、いつも不機嫌なのか。女性特有のカラダの不調や悩みに起因することが多い。しばしば男女間、夫婦間に深いミゾを生じさせる女性特有の病気・体の不調について、実際の具体例を挙げて解説する。

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