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岸博幸のクリエイティブ国富論

エジプト騒乱は「フェイスブック革命」ではない
体制側の抑圧行為にも貢献するネットの二面性

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第126回】 2011年2月11日
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 エジプトの騒乱は収まる気配がないですが、ちょっと気になるのは、米国でも日本でも、チュニジアやエジプトでの動乱が「ツイッター革命」や「フェイスブック革命」であると叫ぶ人が意外と多いことです。ちなみに言えば、2009年のイランでの動乱の際も「ツイッター革命」と言われました。これらは本当に事実でしょうか。

インターネットを過大視するな

 結論から言えば、これらの認識は間違っていると言わざるを得ません。

 話は簡単でして、革命や動乱といった類いのものは常にリアルの世界での権力側と反体制側のぶつかり合い(軍事衝突、デモなど)の結果として起るものです。それは昔も今のネット時代も変わっていないのです。

 もちろん、そこでネットは一定の役割を果たしています。しかし、それはリアルの世界のぶつかり合いを代替することではなく、情報の流通やコミュニケーションのスピードと濃度を高めることで、ぶつかり合いに至るまでに反体制側の機運を盛り上げることや、それに必要な時間を短縮することに貢献しているということに尽きます。

 つまり、ネットは革命や動乱の動きを後押しすることはできるのですが、「ネット革命」と表現されるような大仰な役割を果たした訳ではないのです。

 そして、特に気になるのは、ネット一般ならばともかく、「フェイスブック革命」や「ツイッター革命」という言葉もあるように、ネット企業が常に正義の味方であるような見方もあるということです。こうした認識は、かなり間違っていると言わざるを得ないのではないでしょうか。

 理由は簡単です。企業である以上、米国のネット企業も、当然、中東の人々の自由よりも自社利益の最大化を目指してサービスを提供しているからです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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