最近、日本ではなく、わざわざ海外、しかも東南アジアで起業する若者が増えている。かつて海外での起業といえば、シリコンバレーなどのアメリカが定番だった。なぜ、東南アジアなのか、現地で起業した若者の声を聞き、実情をまとめた。(日本総合研究所・調査部 上席主任研究員・岩崎薫里)

東南アジアで起業した
3人の若者たち

越陽二郎氏

「タイには駐在員として日本企業から派遣されてやって来ました。でも、その生活にどうしても生き甲斐を感じられなくて、退職してそのままタイで起業しました」――。

 そう語るのは、2013年にタイで人材採用事業、TalentExを立ち上げた越陽二郎氏である。今、越氏のように東南アジアでスタートアップ※を立ち上げる若者が増えている。

いわさき・かおり
(株)日本総合研究所 調査部・上席主任研究員。1987年 早稲田大学政治経済学部卒業、同年(株)住友銀行(現三井住友銀行)入行。1992年 (株)日本総合研究所調査部、2005~2007年 JRI America 出向を経て、2011年より現職。

※スタートアップとは「急成長を志向する企業」であり、ベンチャー企業などとも呼ばれるが、最近のトレンドに合わせてここではスタートアップと呼ぶ。

 越氏(1984年生まれ)がTalentExを立ち上げたのは、駐在員時代に人材採用に苦労した経験から、タイの人材採用事業にビジネスチャンスが大きいと感じたためである。現在、TalentExはオンラインの人材採用サイト“JobTalent”および“WakuWaku”を運営し、最近ではSaaS型の人事管理システム“HappyHR”の提供を始めている。

「最前線で血を流しながら」(越氏)異国の地での戦い方を模索し、最近になってようやく手ごたえが感じられるようになっている。