ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
美人のもと

植民地

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第92回】 2011年2月14日
著者・コラム紹介バックナンバー

 テーブルを囲んで食事。やはり大人数で食べる食事はおいしい。

 皆で共通の話題を考えたり、隣同士で語り合ったり。いい友好関係だ。

 食事が進んでいくと、友好関係にちょっとした変化が起きる。領土の変化だ。皆、自分の前は自分のスペースとして使う。しかし、隣の人との境目はほとんど曖昧である。なんとなく自分の領域がある。その領域を超えたところでそんなに問題はないので、たいていの場合は「ちょっとはみだしてるわよ」と怒る人もおらず、友好関係は保たれ、領土問題で争いが起きることはない。

 その領土に注目していると、かなりの個人差があることに気づく。それはカラダの大きさにあまり関係ないようだ。大きな人が広い領土を持っているわけではない。美人の領土は狭い。なんとなくできている境界よりかなり内側だけを使う。

 それはテーブル上に表れやすいのだが、実際はテーブル以外のところでも起きている。自分のものをきちんと整理し、自分の領土に収めている。自分のものをあちこちに散らかさないということだ。それは声の大きさにも比例していて、領土が控え目な人からは、他人に騒音が出たり、迷惑な大声が聞こえてきたりしにくい。

 控え目な領土は「美人のもと」をつくるのかもしれない。

 「美人のもと」が減っているなと思える人の領土に注目してみる。テーブルでは自分の使っている食器などが広がっていて、食事には関係ないものをいつまでも置いていることも多い。バッグや上着などをあちこちに平気で置く。それはまるで植民地をつくっているようだ。他人の領土に平気で侵出し、平然と居座っているものたち。

 食事の席だけではない。たとえば会議室。なぜか一人だけ場所が広い。会議中、ものをあちこちに置くだけではなく、足癖が悪く隣の人の領土を侵す。

 友人と旅行に行く。ホテルに着くと部屋のあちこちに自分のものを置きまくり、そのおかげで何がどこにあるかわからなくなり、絶えず何かを探している。そしてイライラして奇声を発する。植民地をつくりすぎているだけなのに。

 そんな植民地こそ「美人のもと」を減らしているのだ。自分の領土を時々意識してみよう。小さな領土は美しい。


この記事に関連した読者調査の投票結果を見る
(投票期間は終了しています。)

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

「美人のもと」

⇒バックナンバー一覧