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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

「説明がうまい人」を過大評価してはいけない

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第56回】 2016年12月19日
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説明や解説スキルが高い人=仕事がデキる、とは限りません

 コンサルタントとして、社長に随行して社員に会うことがある。ジャック・ウェルチがそうであったように、社長の「訪問」は何かしらの人材発掘を兼ねているのだ。社長が質問すると、そつなく上手に説明してくれる人、興味深い話をしてくれる人、聞き手そっちのけの複雑な説明でこちらの頭を混乱させてしまう人、しどろもどろになる人……といろいろいる。こういう場面での立ち振る舞いが、その人の印象を決めてしまう。そして、多少なりとも将来のキャリアに関係してくる。

 こんなとき、上手に話せる人はたしかに印象が良い。しかし、説明がうまいからといって仕事ができるわけではない。説明は、訓練で正しい方法さえマスターすれば、誰にでもできるからだ。

 上手な説明のポイントは、まず主要プレーヤーを明示すること。その後にプレーヤー間の距離感を政治(権力)、経済、文化、宗教、技術的な面に分けて、それらの関係が歴史的にどのような経緯で現在に至るか、その中で何がもっとも支配的な要素であったかを順番に話すことだ。そうすれば池上彰さんほどではないにせよ、しっかりとわかりやすく「説明」することができる。しかし、会社によっては説明の技術が驚くほど訓練されていないので、たまに説明が上手い人がいると、それだけで「あいつはできる!」と過大評価されてしまう。

知識があれば上手に説明できる
というものではない

 説明をする際に、話者がその分野に関してどの程度の知識を持っているかで6段階に分けることができる。知識量が低い順から、(1)ほとんど知識がない段階、(2)最低限のキーワードを把握している段階、(3)興味が出ていろいろな知識が増えた段階、(4)自分なりの持論を主張したい段階、(5)持論に疑問が出ている相対化の段階、(6)真理とおぼしきことをつかんだ段階だ。この知識段階によって、失敗しやすいパターンがあるので注意が必要である。また、とくに若手の説明を聞く場合は、相手がどの段階にいるかをしっかり見抜いてサポートしてあげなくてはならない。

 各段階を説明してみよう。(1)は、知識不足で知らないものは仕方がない。トップは突然、思いつきの無茶ブリな質問をすることもあるため、その場合は「私にはこの分野の知識はありません」と正直に答えればいい。しかし、期待に応えようと知らないのに無理に答えてしまう人もいるので要注意だ。適当な答えのせいで、悪印象だけが残ってしまうこともある。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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