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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

路線撤退続く静岡空港に県が血税大盤振る舞い!
「空港ティーガーデンシティ構想」の底なし沼

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第21回】 2011年2月18日
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 このような税金の使われ方に納税者は納得しているのだろうか。そんな疑問がふつふつと湧き上がってきた。

 2月14日に開会された静岡県議会2月定例会を傍聴している時のことだ。川勝平太知事が県政の諸課題に対する所信表明を行った。演説は1時間近くに及んだが、さすが学者出身の知事である。よく通る声で、淀みなく原稿を読み上げた。

 川勝知事は所信表明の中で2009年6月に開港した静岡空港について、「県内経済への波及効果が1年間で約245億円との調査結果が出されました」と胸を張り、「県民に分かりやすく知らせ、空港に対する理解が深まるよう努める」と述べた。そして、2013年度に空港の利用者(旅客者)数を70万人、定期便の就航路線数を10路線に増やすとした目標値を達成するため、チャーター便の誘致や誘客キャンぺーン、さらには着陸料の値下げや運用時間の延長(4月から13時間)などを実施するとした。開港から1年8カ月が経過し、利用の低迷と路線の撤退発表が相次ぐ静岡空港へのテコ入れだ。それも多額の税金を新たに投じての支援策である。

 静岡県が新たに実施する空港利活用策の目玉が、「空港ティーガーデンシティ構想」だ。空港周辺に展望デッキや遊歩道を設置し、地元農産品の直売所やカフェ、飲食店なども整備することで、静岡空港の魅力を高めようというものだ。「1年に1度は県民が訪れたくなる空間づくり」だという。県はこうした旅客以外の見学者の増加を図り、旅客の目標値(70万人)を上回る年間100万人以上を目標値に設定した。そして、その第一歩として展望デッキなどの整備費(2億2540万円)を来年度当初予算案に計上した。県議会2月定例会で予算案などが審議される。

 そもそも税金とは何なのか――。そして、何のためにあるのか――。静岡県の空港建設とその利活用に向けた一連の活動をみると、こんな根源的な疑問がどうしても湧いてくる。

 税金とは、住民が生活していくうえで課題となるものを解決するために皆で出し合うカネではないか。そして、税金を使って解決に取り組むべき地域の課題を決めるのが、政治なのでは。地域に存在する様々な課題の中から取り組むべき優先順位をつけ、解決に向けたカネの効率的な使い方を決めるのが、本来の政治だ。そして、課題解決の最大の資源となる税金の集め方を決めるのも、政治の役割だ。

 つまり、税金の入り口と出口を決め、税金を生活しやすい社会づくりに有効活用するのが、政治の役割ではないか。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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