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野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

GmailやGoogle appsに見られる
「クラウド・コンピューティング」という新たな方向性

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第44回】 2008年10月14日
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 「クラウド・コンピューティング」という考えが、これからのコンピュータの使い方の方向付けを示すものとして、注目を集めている。

 クラウドは、「雲」という意味だ。つまり、「データやアプリケーションソフトなどコンピュータの作業で必要なものを、手元にあるパソコン(PC)から雲の中に移してしまい、必要に応じて取り出して使おう」ということである。

 雲というのは、インターネット、あるいはその先にあるデータ処理システム(コンピュータやサーバーなど)だ。ただし、ユーザーは、その存在を意識しない。それがどこにあるのか、どのようなものなのかなどを知らずに使うことになる。「雲」というつかみどころのない表現が、それをよく表している。クラウド・コンピューティングはweb2.0のつぎの概念だと言われるが、web2.0という言葉の無機質な感じに比べると、ずっと親しみやすい。

 さて、抽象的なレベルでは、多くの人がクラウド・コンピューティングを以上のような意味で理解している。しかし、もう少し具体的なレベルになると、さまざまな論者が異なる定義で用いており、必ずしも共通の厳密な定義が定着しているわけではない。

 この問題について議論すると、「そんなものはクラウド・コンピューティングではない」とか、「本来のクラウド・コンピューティングとはこのようなものだ」という類の反応が必ず返ってくる。比較的新しい概念であり、しかも変化が進行中なので、さまざまな解釈が生じるのは止むを得ない。ただし、言葉の解釈に混乱が起こっているとする指摘もある(以下で述べることも、正確に言えば、「私が理解しているクラウド・コンピューティング」である)。

 そこで、最も単純な形態のクラウド・コンピューティングをまず考えてみることにしよう。これで具体的なイメージが掴めれば、理解は容易になる。そして、以下で述べることを実際にやってみれば(実行するのは実に簡単だし、費用もかからない)、クラウドの意味が理解できる。そして、従来のPCの使い方に比べて能力が飛躍的に拡大することが実感できるだろう。

データをクラウドに置く

 「クラウドの中に置く」ものとしては、データとアプリケーションの2つのものがある。まずデータの面を見よう。データとしては、自分が作業中のデータ(書きかけの原稿や報告書、作業中の計算シートなど)や、メール送信記録などがある。

 データに関する一番単純な形のクラウド・コンピューティングは、Gmailを用いることで簡単に実現できる。Gmailは無料のサービスなので、すぐにでも実行できる。

 それについては、この連載の第10回「データ保存の基本思想に大転換を迫るグーグルのGmail」ですでに述べた。Gmailでは、メールのログ(送受信の記録)は、現在7GBまで無料で保存できる。通常の利用では、これは、事実上無限の容量と考えることができる。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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