「怒り」「うつ状態」を
自分でコントロールするために重要なこと

 ふさぎ込んでいる人が、怒りの思考がもたらす解放感に気づけるとしたら、また、その人が怒りの思考をあえて自分で選んだことに気づけるとしたら、自分にはコントロールできる力があるという感覚をただちに取り戻して、うつ状態は消えるでしょう。
 もちろん、その人が怒りに留まらないことは重要です。ですが、その怒りの場から、今度はより苦痛がやわらぐ「10 不満」という思考に至ることができます。

 怒りをあらわにする人に熱心に忠告する人は少なくありません。怒っている人がそばにいると楽しくないので、元の無力なうつ状態に戻ってほしいと身勝手に思うのです。うつ状態はたいてい内に向かいますが、怒りはそばにいる人に向かうことが多いからです。

 怒りの思考の選択があなたにとっていいことかどうか、外からはわかりません。
 どの思考が適切かは、そのとき味わう解放感によるもので、当人にしかわからないのです。

 あなたを見守る人は、あなたが怒りの状態に留まるつもりはないと知れば安堵するかもしれません。
 あなたは「17 怒り」を通り越し、「10 不満」や「11 打ちのめされている状態」を通り越し、「5 楽観的な姿勢」をも通り越して、すべてうまくいくという「4 前向きな期待」に向かうつもりだとわかれば、あなたの現状に我慢してくれるかもしれません。

 生きていくための自然な仕組みとして、うつ状態や恐れといった無力感から怒りへと自然に移行する人は大勢いますが、「怒りはよくない」と家族や友人やカウンセラーに責められると、またもや無力感にさいなまれ、もう一度うつ状態から怒りに移行するという流れを繰り返すようになります。

 自分にはコントロールできる力があるという感覚を取り戻すには、たった今、こう決意することです。
「気分がよくても悪くても、その状況に最善を尽くす」

 今すぐたやすく到達できる最善の気分のいい思考を求め、そのプロセスを何度も繰り返せば、あなたはまもなく素晴らしく気分のいい場所に到達できたことに気づくでしょう。