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日本を元気にする新・経営学教室

消費者の情報収集・買物行動を踏まえて
販売チャネルをどう整備するか
京都大学大学院経営管理研究部教授 成生達彦

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],髙木晴夫
【第4回】 2011年2月21日
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 メ-カ-が生産した財を直接消費者に販売することは稀で、多くの場合、卸や小売などの流通業者を介して販売している。今回は、消費者の情報収集や買物行動を踏まえて、チャネルをいかに構築するかについて議論する。

 商品の購入に際して、消費者は「何を、どこで、いくらで買うか」を決めるが、彼らは財の存在や入手経路(どこで売っているか)、さらには品質や属性について十分な情報を持っているわけではない。財の存在や入手経路を知らなければ、当然、買うことはできない。

「経験財」と「探索財」

 商品の属性(品質)について十分な情報を持っていない場合、消費者は、購入に先立って情報を収集する。ファッション性の高い衣服を買う際には、色や柄だけではなく、実際に試着して着心地を確かめる。家電製品や自動車を購入する場合も同様で、事前に商品属性を比較検討する。これらの商品は属性が多様で、それによって消費者の満足が大きく異なるからである。

 一方、(新発売の)インスタントラ-メンを買う際には、購入前に、味や栄養価を調べることはほとんどない。実際、食べてみなければ、味は分からない。このように、食品や日用品などは、購入前にいくつかの品目を詳細に比較検討するのではなく、買って消費する過程で属性を知り、品質を判断している。

 なぜ、購入前に商品属性を調べないのか? その理由の1つは、これらの商品は購買頻度が高く、過去の消費経験から品質を知っているからである。また、消費者の好みが似ており、使用経験を持つ他の人々からの口コミで、属性情報を得ることができる。さらに、商品が規格化・標準化されており、多少の当たり外れはあるものの、どれを買っても満足に大きな差がないからである。

 赤い服を好きな人も、黄色の服を好きな人もいれば、赤、橙、黄などの多様な属性の服が売られるであろう。一方、ほとんどの人が黄色を好むのであれば、赤や橙の服は販売されず、標準化が進んで属性の多様性が減り、どれを買っても満足に大きな差は無くなろう。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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