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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

金融庁、地銀への「監督・検査姿勢大転換」の衝撃

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第51回】 2016年12月21日
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 金融庁が金融機関の監督・検査姿勢を大きく転換、森信親長官の名を冠した「森ドクトリン」が注目を集めている。その対象は銀行、とくに影響が大きいのは地方銀行(地銀)だ。この転換は貸出が減少し、国債金利の低下で収益が厳しい地銀の経営に与える影響が極めて大きいと考える。金融庁の試算でも、2024年度には地銀の6割超が赤字になる見通しまで示している。

リスクオフからリスクオンへの大転換

 従来の銀行に対する金融庁の監督・検査は、不良債権を作らせないことがメインであった。最近、イタリアの銀行で増加している不良債権問題を見ても分かるように、銀行にとって、不良債権が少ないことが銀行経営の健全性において重要指標であることは間違いない。

 しかし、その面ばかりが強調されると、銀行経営が「守り」一辺倒になってくる。たとえば中小企業への貸出は担保を前提としたり、さらに当局の信用保証協会(マルホ)の保証を前提としたり、リスクを最小限に抑えるようになってきた。

 加えてビジネス面では、地銀の経営基盤は本来地方にあるが、そのエリアの経済が低迷する中、まだ比較的景気がいい東京など都市部での貸出を伸ばしてきた。

 その姿勢が転換されたのだ。今後、地銀は地場企業を育て、地域経済の成長に重点を置かなくてはならない。しかも創業支援までもが項目に入っている。

 今後、地銀は自身の分析と判断によって、企業への融資判断をすることになる。確かに、それは金融業本来の姿といえる。

求められる地銀の経営転換

 この姿勢の転換は大きい。180度といってもいいかもしれない。銀行の企業に対する融資というものは、あくまでも一般論であるが、企業の経営が安定してくる前に行うものではなかった。これまでは、銀行本体に不良債権を作らないことを最優先に、リスクを極めて低減させていたわけだ。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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