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田中均の「世界を見る眼」

2017年の世界は型破りトランプ政権を中心にこう変わる

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第62回】 2016年12月21日
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日本にとって重要なのは、トランプ政権と緊密な関係を維持していきながらも、従来のように米国の動きを待って受動的に対応するのではなく、自ら能動的に動いていくことだ Photo:首相官邸HP

アウトライヤーのトランプ政権
「理念より取引」重視

 2017年の世界は米国を中心として大きな変動が世界にもたらされる予感がする。1月20日に発足するトランプ政権は第二次大戦後のどの政権とも共通点の少ない「アウトライヤー(基準外の)」政権である。トランプ次期大統領の選挙期間中及び勝利後の言動や閣僚級人事を見てもアウトライヤーぶりが際立つ。トランプ次期大統領の言動は過去の慣例や伝統的政策に縛られないことを示している。

 まずトランプ勝利の背景である。大方の予想に反するトランプの勝利は特に白人労働者にはリーマンショックからの不況の脱出の実感がないという強い不満や、近年の移民の急速な増加(移民排斥がピークに達した1920年代と同じレベルー人口の13%程度に達している)で雇用が奪われているという不満が背景にある。従ってトランプ次期大統領の中心課題は雇用の創出と移民の制限による「強いアメリカ」の創出であり、対外的には保護主義も辞さないという「アメリカ第一」の政策ということになる。

 次に、人事である。これまで発表された閣僚級人事に驚かされるのは、国家安全保障関係は軍人出身、国務長官を含め主要閣僚は成功したビジネスマンであることである。

 ここには有力政治家や学者、シンクタンク出身者といった人物の姿はない。これはビジネスマンとしてワシントン政治には無縁であったトランプ次期大統領にはそもそも政治家や学者の知己がいないということや共和党の多くの関係者が反トランプであったことだけを理由とするのではなかろう。軍人やビジネスマンは明確な目標に向けて組織をあげて注力し、結果をつくることを重視するという点も重要なのだろう。トランプ政権は結果志向の政権となると思われる。

 さらに、「理念より取引」である。トランプ次期大統領が勝利してから世界の注目を浴びた三つの行動がある。安倍首相とのトランプタワーでの会談、孫正義ソフトバンク社長との会談、そして蔡英文台湾総統との電話会談である。これらはいずれも正式就任前の次期大統領としては異例の行動である。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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