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ネットの「偽ニュース」に、なぜだまされるのか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第418回】 2016年12月22日
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「ヒラリーが宇宙人を養子に」?
そんな「ウソ」がなぜ拡散するのか

 「偽ニュース」が手の負えない状態になっている。

 アメリカでは、今年の大統領選で偽ニュースが人々を振り回した。フェイスブックなどのSNSで表示されるニュースや他のサイトで出てくる広告などを信じて、風評がさらに広まり、何が真実で何が偽なのかの見分けもつかない状況を生んだ。

 倫理観の低下か儲け主義の爆発か。いずれにしても、少しずつ世界が蝕まれていくような感覚に苛まれる。

 偽ニュースと一言で言っても、いくつかの種類がある。

 ひとつは、この選挙戦の際に見られた政治的なプロパガンダや陰謀によるものだ。「ローマ法王がトランプ候補を承認した」「トム・ハンクスがトランプ支援に転身した」「ヒラリー・クリントンは宇宙人を養子にした」「ビル・クリントンのセックス・テープがリークされた」といった大量の偽ニュースが、今回は飛び交った。

 どうみても偽だとわかるケースも多いのだが、それにも関わらず、政治的に二分された世界では敵を落とすために有用になる。オハイオ州ジョン・キャロル大学の哲学教授シャロン・ケイ氏によると、「人は聞きたいと思っていた内容を耳にすると、嘘でも信じる傾向がある」とのことで、この手の偽ニュースはそうしたサポートを受けて広まっていく。

 もうひとつのタイプは、売らんかなのために作ったコンテンツが偽物になってしまったというものだ。日本で問題視されたDeNAのケースがこれにあたるだろう。

コンテンツ・ファクトリー
が偽ニュースを大量生産

 正直なところ、アメリカはこの手の偽ニュースにはもう慣れっこになってしまった。流行のキーワードや話題を取り上げてコンテンツを大量生産する、いわゆる「コンテンツ・ファクトリー」がずいぶん前から粛々と活動している。これらファクトリーが、大した内容もなくいい加減に作られた記事を大量にインターネット空間に流しているのだ。すべてSEO(検索エンジン最適化)を行って、広告料で稼ぐことが目的だ。

 報道機関ではない営利目的の企業が、一見情報サイトにも見えるものを運営しているとか、他にも怪しい内容の記事が並んでいるといった場合は、そうしたサイトをハナから疑ってかかる必要がある。だが、十分な判断力(つまりメディアリテラシー)を備えたユーザーばかりでない。かくして、掲載された記事が真実と勘違いされて伝わっていく。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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