叱り上手になるために

 これまで学んできたことを実行しようとしても、なかなかうまくいかないこともあるでしょうし、つい怒ってしまうこともあるはずです。そこで、効果的な「叱り方」を身につけるために、管理職として心がけておきたいことについて触れておきます。

 自分に合った「叱り」を発見するうえで、ふだんからどのようなことをすればよいのか、また、指導に失敗したと思ったときにどのようにフォローすればよいか、といったことを考えておくことは大事なことです。

怒ってしまったときはフォローを忘れずに

 人間ならば誰でも、つい感情に流され、怒ってしまうことがあります。そして、いったん怒ってしまうと、そのあと、相手に対してうしろめたさのようなものを感じてしまい、コミュニケーションの量が減って、相手との距離を置きたいという心理が働いてしまうことがあります。

 しかし、それではお互いの心がマイナスの方向に向いてしまうので、信頼関係を築くのが難しくなってしまいます。怒ってしまったあとは、できるだけ早いうちに相手ともう一度向き合い、誠意を持って接することが大切です。それによって、伝えたいメッセージが相手に伝わっていたことが分かることもあるはずです。

 ガラスのコップであれば、割れると終わりですが、人間の心はもう少し柔軟なものです。もう一度、信頼関係を修復することが可能です。体面を取り繕うのではなく、心をこめて、言葉が過ぎたのなら素直に謝る。そして大切なのは、怒ってしまった自分を責めないことです。

常に自分のイライラ度をチェックする

 また、怒ったあとのフォローと同時に、ふだんから怒っている自分と向き合い、その原因となっているものが何かを見つめることも大切です。

 自分が怒りっぽい性格だと自覚している人でも、常に怒っているわけではないでしょう。一日の中でもイライラしているときと、そうでないときがあるはずです。どのようにイライラ度が変化しているか、グラフにしてみると、いくつかの山が見られるのではないかと思います。それを見て、何が怒りの要因になっているかを分析してみます。

「叱る」は、いかに「許す」かと同じ<br />相手の反応から学ぶことで“叱り方”は増えていく

 図を見てください。Aさんの場合でいえば、会議のときに怒っていたのは、会議が思うように進んでいなかったためか、部下の発言や態度が原因なのか、自分の体調なのか、あるいはほかの要因なのか、というように、怒りの原因を自分なりに把握することができます。そのうえで、ストレスレベルが上がらないようにするためにどんなことができるかということを考えてみるのです。