シナリオのように会話体で「叱る」方法を紹介するのは今回で最後です。あくまでも、状況に合わせてあなたなりの方法を見出すためのヒントとして、参考にしてみてください。

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部下どうしのトラブルを指導する場合

 人間関係のトラブルというのは、職場を始め、組織の中では必ず生じるものですが、指導する側にとって大きな悩みの種です。双方が感情的になっていて、指導者の入り込む余地のない場合もありますし、判断や指導方法を誤ると、指導の能率や組織全体のモチベーションにまで影響を及ぼしてしまいます。

 叱るといっても、一方だけを指導するのではなく、全体の中でもっともよい方向、「しか・あるべき」方向に導くことが大切です。ここでは、自分の目の届かないところで起きているトラブルを取り上げ、指導の方法、叱り方を見ていきます。

[登場人物]

羽田美智代(35歳)
派遣スタッフ。商社に事務職として派遣されて二年半。仕事に対する姿勢も含めて、派遣先の会社から高く評価されている。姉御肌で、後輩スタッフの面倒をよく見るが、仕事の完璧さを追求するあまり、相手に対して厳しく接してしまうことが多い。

佐野浅造(57歳)
人材派遣会社の社長。温厚な性格だが、やや楽観的すぎる面がある。登録スタッフからの相談にも気軽に応じるため、信頼も厚い。

森尾ユリ(27歳)
派遣スタッフ。二ヵ月前から、羽田さんを始め、数名のスタッフが働いている商社へ、新たなスタッフとして派遣される。仕事の能力は高いが、性格はややおっとりタイプ。つい先日、年上の羽田さんから、些細なミスについて厳しく指摘され、ショックを受けている。
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