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日本を元気にする新・経営学教室

個人が専門性を高めると、企業内の人材ニーズと
個人のキャリア開発にミスマッチを起こす
早稲田大学ビジネススクール教授 内田和成

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],髙木晴夫
【第5回】 2011年2月28日
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せっかく専門性を高めても同一組織内では
ほとんどの人がそれを活かせない

 これからのビジネスパーソンは、単なるゼネラリストではなく自分の専門性を磨いて、市場価値を上げるべきだという話がよく言われる。これは本当だろうかと疑ってみる。

 企業に求められる人材の要件が高度化し、専門性が高まって来たことは紛れもない事実である。その意味では、企業のニーズに応えるために専門性を高めると言うことは理にかなっている。

 昔は営業マンがマーケティングを知らなくても、それ行けドンドン、あるいは義理人情浪花節で営業成績を上げることは可能だったのが、最近ではターゲット顧客をきちんと定め、適切なマーケティングミックスを構築し、自社のポジションを築いていかなければ、営業成績もついてこない。その意味で営業マンに必要なスキルが、接待の技術や営業トークから、論理的な思考やシステマチックな方法論に変わりつつあるとも言える。

 しかしである、マーケティングを極めた人間が営業本部長になれるのか、取締役になれるのかと言えば、はなはだ疑問である。マーケティングを極めた人間の中には、トップに上がる人もいるかもしれないが、たいていの人間は、マーケティング部門でそこそこの役職について終わるか、マーケティングとは全く関係ない部署のマネジメントに従事することになる。

 要するにせっかく専門性を高めても、ほとんどの人間はそれが活かせないまま寂しくサラリーマン人生を終わるのである。

市場価値と企業内価値の違いは
なぜ生じるのか

 どうしてそんなことになるかを説明しよう。たとえばある人間が、企業の中で経理の専門性を高めて、いろいろな資格を取ったり、企業の中で会計や経理のポジションばかり経験を積んだとしよう。彼は、途中までは重宝がられて活用されるが、経理課長になったあたりからその後の会社人生には暗雲が立ちはだかる。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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