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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

日本国と日本企業の運命は別ではない!
デ・カップリング論には無理がある

田村耕太郎
【第10回】 2011年3月2日
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地政学とビジネス

 ウォールストリートでもビジネススクールでも、地政学を企業分析に生かす手法が流行りだ。きっかけは欧州ソブリン問題とチュニジア・エジプトに端を発する“革命騒ぎ”である。

 地理的環境や政治状況が経済ひいては企業業績に大きな影響を及ぼすということを投資家も経営学者も強く再認識させられたようだ。

 時を同じくして、日本には無関心だった世界の有力投資家たちが日本の金融市場に熱い視線を送っている。特に莫大な資金力を持つ世界的な政府系ファンドの連中の鼻息は荒い。

 「われわれは国別には物事を見ない。グローバルな市場での展開力に注目する」という。その中で「地政学的に日本企業は有利だ。成長センターのアジアに近い。日本という国にはいろいろ問題があるが、グローバルに展開できる日本企業は魅力的だ」と自身の判断に自信を持つ。

 地理的な成長センターであるアジアへの近さだけに注目し、国の政治や財政と企業活動を切り離すことも“地政学的考察”なのだろうか?今ウォール街でも話題の「日本の未来と日本企業の未来は連動していない」という日本国・日本企業デ・カップリング論はいかがだろうか?私は切り離すことはできないとみる。所詮は運命共同体だと思うのだ。

 国家としての戦略を描けない末期症状の日本政治をよそに、たくましくアジアそして世界の新興国に進出していく日本企業。確かにたくましい。グローバル化時代のあるべき姿だ。ここアメリカでは日本企業に対する評価は厳しい。「日本企業には“カイゼン”はあるが、“戦略”はない」と言い切る研究者・実務家が多い。

 日本では「成功したベンチャーと言われる企業」も、「アメリカ発のアイデアを、時間差を利用して、特殊な日本市場という空間に翻訳しただけ。縮小する市場だけで成功しても、こちらには学ぶものはない」と手厳しい。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

「田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」」

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