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今週のキーワード 真壁昭夫

米中対立必至の今こそ親日国を増やすことが重要だ

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第461回】 2017年1月10日
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トランプ次期大統領を牽制!?
習近平国家主席のメッセージ

 新年早々、中国の習近平国家主席が「自国の領土と権益を断固として守る」とのメッセージを発信した。同氏は演説の中で“平和的発展”を重視し、「どの国も領海問題に言いがかりをつけることはできない」と、海洋進出などに関する国際社会の批判や懸念を一蹴した。

 これは、中国が南シナ海などでの活動基盤を形成し、「世界全体に影響力を及ぼしていくことが国際社会の発展と安定につながる」とのアピールだ。中国の一方的な言い分を繰り返し、トランプ新大統領を牽制する意図が明確である。

 習国家主席は、20ヵ国・地域(G20)首脳会合の成功など自らの功績をたたえつつ、腐敗の撲滅を推し進めることも強調した。これは習近平が、政策執行能力がないことに加え私腹を肥やす一部の政治家や官僚=政敵を排除し、自らの指導力を社会全体に浸透させようとしていることを示している。

 中国が権益の確保と拡大を目指す一方、米国ではトランプ次期大統領が一段と反中国の姿勢を鮮明化する可能性がある。今後のトランプ氏の政策には不透明な部分は多いものの、中国への批判的なスタンスだけは一貫している。

 米国の雇用機会を増やし、米国経済を再び強くするためには、どうしても中国の台頭がマイナス要因になるだろう。今後、トランプ政権の政策運営がはっきりしてくると、米中の貿易摩擦など軋轢が生じやすくなることは避けられない。

 今後、多くの国が米国の顔色をうかがいつつ対中関係を模索する展開が考えられる。その中で、わが国は米国との関係を重視しつつ、経済やアジア各国への外交面での実利を得るべく中国と微妙な距離をとる必要がある。

 その上で重要なことは、わが国がアジア経済の中で主体的にリーダーシップを発揮していくことだろう。わが国は援助を求められた際にただ応じるのではなく、経済開発の支援の見返りとしてどのようなメリットがあるかを念頭に、アジア各国との関係強化を進めるべきだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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