一般家庭の光熱費を電力会社とガス会社が奪い合い、ガス劣勢か迎え撃つ東京ガスの広瀬道明社長(上)と、タッグを組んで攻め入る東電EPの小早川智明社長(下右)と日本瓦斯の和田眞治社長 Photo by Yasuo Katatae

 4月の家庭向け都市ガス市場完全自由化で本格化する、“光熱費”争奪戦の火ぶたが切られた。

 家庭で消費されるガスのうち、規制が残っている都市部でガス導管によって供給される家庭向け都市ガス市場が4月以降自由化される。そこで勃発するのが、“光熱費”争奪戦ともいえる、家庭向けエネルギー市場の奪い合いだ。

 すでに昨年4月に自由化された、約7.5兆円の家庭向け電力市場に、都市ガス市場の約2.4兆円が加わり、約10兆円の“光熱費”市場をめぐって、東京ガスや大阪ガスなどの都市ガス会社と、電力会社が正面衝突することになる。

 鞘当てはすでに始まっている。仕事納め直前の16年12月26日、新規参入する東京電力ホールディングス傘下の東京電力エナジーパートナー(東電EP)は提携先のLPガス大手の日本瓦斯と、また東京ガスは単独で記者会見を開き、4月へ向けた意気込みを発表したのだ。東電EPは7月、日本瓦斯は4月から、東京ガスの供給エリアへ攻め入ると宣言。迎え撃つ東京ガスの広瀬道明社長は「東電・日本瓦斯連合は最大、最強の相手」と敵を持ち上げつつ、都市ガス供給130年間の実績を強調し、シェア維持へ向けた決意を示した。

 翌日には関西電力がLPガス大手の岩谷産業と組み、大阪ガスの現在の料金よりも年間最大で約8%、約5800円安い料金メニューを発表。今月4日から申し込み受け付けを開始している。