ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

原油下落でも電気・ガス料金が下がらない理由

新村直弘 [マーケット・リスク・アドバイザリー代表取締役]
2015年4月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
電力・ガス料金には、LNGの価格の影響が大きい。写真はLNGタンカー
Photo:Katsuya Noguchi/PIXTA

 原油価格の低迷が続いているのに電力料金やガス料金が下がらない、という報道をよく目にする。

 しかしこれは、実は当然なのである。そもそも原油価格の下落が、発電の燃料、ガスの原料であるLNG(液化天然ガス)価格に反映されるには時間が掛かること、さらに電力会社・ガス会社が原燃料価格の変化を料金に反映するのに時間差があることが要因だ。

 大まかに言えば、原油価格の変化が電力料金・ガス料金に反映されるまでには、6~7ヵ月のタイムラグがあるのだ。つまり、10月~12月の原油価格下落を受けて、それらの料金が下がるのは6月~7月以降、ということになる。

原油の国際市場価格の変動が
波及するまでには時間差がある

 以下では、その仕組みをもう少し詳しく説明しよう。

 まず、テレビや新聞で報道されているドバイ原油やWTI原油といった原油のいわゆる「国際市場価格」が、日本の「輸入原油価格」に影響し、さらにそれを元に輸入LNG価格が決められるのだが、それぞれの間にタイムラグがある。

 下のグラフは、「国際市場価格」である円建てドバイ原油価格、日本が輸入している原油の平均価格と、日本が輸入しているLNGの平均価格の推移を示したものである。それぞれ、値動きは類似しているものの「価格の山谷」に時間差があることが分かる。

「日本が輸入している原油の平均価格」はJCC(Japan Crude Cocktail)、「日本に輸入されるLNGの平均価格」はJLC(Japan Liquefied Natural Gas Cocktail)であり、いずれも貿易統計を用いて計算によって求められている。分かりやすくするために、以降では、JCCを「輸入原油価格」、JLCを「輸入LNG価格」と表記している。
1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

新村直弘[マーケット・リスク・アドバイザリー代表取締役]

にいむら・なおひろ/1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行、バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て、2010年に企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。2012年6月、商品市場動向分析を専業とする株式会社MRAリサーチを設立、代表取締役に就任。著書に『コモディティ・デリバティブのすべて』『天候デリバティブのすべて─金融工学の応用と実践』


DOL特別レポート

内外の政治や経済、産業、社会問題に及ぶ幅広いテーマを斬新な視点で分析する、取材レポートおよび識者・専門家による特別寄稿。

「DOL特別レポート」

⇒バックナンバー一覧