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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

「最適資本構成に一般公式はない」は本当か?
初歩的な経済学と数学で導き出す“実務解の正体”

高田直芳 [公認会計士]
【第53回】 2011年3月4日
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 最初に個人的な趣味の話で恐縮なのだが、日曜日の正午をはさんで、NHK教育テレビで放送される将棋と囲碁の対局を、筆者は毎週、楽しみにしている。

 初手から始まって約15分間は、将棋の指し手(囲碁は打つ手)がほとんど進まず、解説もなく、ひたすら四角四面の盤面が映し出されるだけ。それを腕組みしながら凝視する。

 家族からは「そんな静止画像を観ていて、何が面白いんだか」と呆れられるのだが、趣味は人に語るものではないし、理解してもらおうとも思わない。

 対局が始まってからの数手はほとんどの場合、定跡(囲碁は定石)が展開されるので、DVDに録画して、早送り再生してしまう人もいるだろう。しかし、無音状態で映し出される盤面にこそ、味わい深いものがあると筆者は考えている。

 その理由は、テレビ画面の上下に隠れているプロ棋士の、真剣な息づかいを盤上に感じることができるからだ。TVカメラの前に、将棋盤や碁盤がただ置かれているだけではないのである。

貸借対照表と道路交通法の意外な結びつき
「丁勘定」と「丁字路」

 話のマクラに囲碁将棋の話を持ち出したのは、日曜日の夜に、企業会計基準委員会が公表している各種の会計基準を読んでいたからであった。

 失礼な表現かもしれないが、筆者は、必要に迫られて会計基準を読むことはあっても、興味を持って率先して読むことはない。その理由は、会計基準の多くに、実務の息づかいを感じることができないからだ。

 その反対に、企業が実際に作成した財務諸表を眺めるのは楽しい。そこには勘定科目や金額などが整然と並んでいるだけなのだが、しばしの時間、財務諸表を睨んでいると、不思議と訴えかけてくるものがあるのだ。今回は、盤面ならぬ財務諸表の紙面から、その声を聞き取ってみよう。

 手始めに、読者の手許に会計や決算書に関連する書籍があったなら、それをパラパラとめくって、〔図表 1〕に示すような貸借対照表が掲載されているかどうかを確認していただきたい。財務諸表(または決算書)の仕組みを説明するものであれば、まず間違いなく掲載されているはずだ。

 縦と横に描かれている太い線の形状から、〔図表 1〕をローマ字の「T」の字になぞらえて「T勘定」と呼ぶ人が多い。筆者は、漢字の「丁(てい)」の字になぞらえて「丁勘定」と呼んでいる。

 ちなみに、道路交通法2条1項5号を参照すると、「丁字路」という法令用語がある。道路の行きあたりで左右に分かれるところは、ローマ字の「T」ではなく、漢字の「丁」なのだ。

 〔図表 1〕で描いた丁勘定の右側に、「負債(銀行借入金70)」と「純資産(資本金30)」を記入している。以降は、説明を平易に行なうために、( )内にある銀行借入金と資本金も並行して用いる。

 両者を合わせると、丁勘定の左側で「総資産100」になる。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

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